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土日でもS Work車両を選ぶ理由
東海道新幹線のぞみの7号車がS Work車両として運行しだしてから7号車以外乗れなくなった。
天気が悪かろうが、もしかして新幹線が見られるかもしれないというかすかな期待をもってE席を予約。
7号車のS Work車両を予約するようになってからというもの2席を一人で独占。今まで一度も隣に座られたことがない。
WorkというだけありオンラインMTGや電話もOKなのだが、大声でしゃべりたおしている人もいないし、ただたた静かにキーボードを打つ音がするだけ。
というわけでプライベート時や土日移動で特に急ぎの仕事がないときでも7号車ご用達になってしまった。
そして本日も隣はこない。
とリラックスしながら、青々としていた稲穂から頭を垂れる黄金色へと変化する前の黄緑色になった稲穂を眺めながらぼ~っとしているとアナウンスがなった。
「自由席が混雑してまいりました。座席を譲り合ってお座りください」
自由席は立席が出ているのか。2席を一人で悠々自適に使わせてもらっているのが申し訳なくなってきた。まあ指定席料金を払うか払わないかだからそんなことを思わなくてもいいのだが、先日の大雨による新幹線遅延でぎゅうしゅうづめの車両の映像を思い出して、しんどくないだろうかと思ったのだ。
一人で席を独占できる、静かでリラックスできるという理由で自分からのぞんで7号車に乗っているものの、一期一会の出会いがなくなってしまったのは少し寂しい。
そのとき限りの隣人。
おじさん、おばさん、おじいちゃん、おばあちゃん、なにかイベントに参加するんだろうなと思われる格好をした若い女子、おれ今とんがっているからといわんばかりのふてくされた態度で座る男子、そしてビジネスマン。
隣にどんな人が来るのか、自分が乗り込むときは隣はどんな人なのかちょっとドキドキしていたというのもある。
今までいろんな隣人がいたがもう一度会いたい人がいる。
出張帰りの楽しみと言えば弁当とビール。
新幹線が出発し、プシュと小気味いい音を立ててタブをあけ、一気に飲むビールののど越し、爽やかさは最高だ。
がこの日の隣人はタイトスカートをはいて、髪を巻き、ヒールを履いている、みるからにできる女系。
隣に座り、テーブルを倒し、持っていたかばんをあけ出てきたのはなんとワイングラス。そして、フルボトルワイン!
え?本気飲み???
ワインオープナーを使い、スポッとコルクをぬき、慣れた手つきでワイングラスに注ぐ。
まじまじと見るのは失礼だからいつも隣人の行動はさりげなく見るようにしているのだが、このときばかりはガン見してしまった。その容赦ない視線に気づき、わたしのテーブルに置いてあるビール缶をちらっと見ながら
「ワインお好きですか?」
と聞いてきた。
「あ、はい。まあ」
「じゃ、飲みます?」
といって、なんとワイングラスを出してきた。何個持っているのだ?
しかもチーズまで用意してあり、本格的なワインバーが出来上がった。
後にも先にもフルボトルワインを新幹線で飲み切っている人はみたことない。
ただただ、ワインの話をしただけで名前も住んでいるところも知らないのだが、あの隣人さんだけはもう一度会いたい。
そんな一期一会の出会いがなくなってしまったことだけがS Work車両のデメリットか。
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