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146年続く秋田県種苗交換会の原点は「寝て居て人を起こすことなかれ」
種苗交換会とは読んで字のごとく、種や苗を交換すること・・・ではなく、県内農家から農産物を出品してもらって、品評をする会である。
小学生のころ、じいちゃんに
「種苗交換会いぐが?」
といわれたときに
「じいちゃん、なんちゃって農家なのに交換するものねーべ」
といった記憶がある。じいちゃんは婿養子で、国鉄に勤めていたが、嫁の実家(本家)が農家だったため土日の休みに農作業する、いわゆる兼業農家をなんちゃって農家と失礼極まりない物言いをした孫である。働き者だったなと、今となっては感心しかない。
明治11年に第一回種子交換会として開催されたときは、農民らが優良な種や苗、また技術情報を交換しあった会だったそう。それがさまざまな政変、気候災害があったとしても一度も途切れることなく146.年続いているというのが本当にすごい。
この種苗交換会の発起人とも言われているのが秋田が誇る聖農 石川理紀之助翁である。
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農業復興と農村救済に生涯をささげた郷土の偉人なのに、種苗交換会のチラシで知るという。婿養子先が現在の潟上市で、18年ぶりの潟上での種苗交換会開催とのことで、今一度「聖農」の思いを未来につなごう!とパネル展示がされていた。
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石川翁は生涯にわたり、多くの名言や格言を残している。さすが偉人。いうことなすこと、腹落ちすることばかりなんだろう。
なかでも代表的なものが井上馨農商務大臣の招請をうけて上京し、農業改革の実績を報告したときの、経済のことば14か条だ。
特に1番
寝て居て人を起こすことなかれ
自分は動かないで、他人にやらせてはいけないという意味。わたしはやらされている側なので、この言葉をクライアントにささげたい。
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そして14番目
僥倖の利益は永久の宝にあらず
思いがけない幸運で得た利益は長続きしない。難儀しないで得たお金は永久の宝にならない。
刺さる、グッサグッサと。もらったり、ラッキーに馬券があたったり、ビギナーズラック的に得たもので満足せずに、研鑽を積まねばならんのだ。
金にかかわらず、何かものを作り上げるときは調べて、勉強して、熟考してこそ身になる。昨日の内館先生の言葉の中にもこれが入っていた。
県内の農作物を見に行ったのに石川翁のパネルにくぎ付けになり、小さいブースなのに2時間も居座ってしまった。受付係らしきおじいちゃんからは、相当石川翁が好きな変な女に見えたに違いない。
野菜、果樹、花卉など8部門も!多くの農作物を生産する秋田
秋田といえば米どころ、あきたこまちだ。秋田では一所懸命PRしているつもりの「サキホコレ」も一応あるが、個人的に考えている問題点があって、売れてないように思う。その話は後日。
が、これ以外にもなんとこんなにいろんな種類の米があるのだ
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お米の炊き方でも書いたが全国に282品種あるんだから驚くことでもないが、知らないのが多すぎる。
ちなみに水稲の品評は、穂の長さや色、粒の大きさなどで競われる
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正直、素人には違いがわからないが、まっすぐでキレイなのはわかる。何よりも秋田県は今年7月中旬の記録的大雨で圃場の冠水などの被害のほか、猛暑による異常気象との闘いにもめげず、こんなすんばらしいお米を作り上げただけでも米農家全員に金賞をささげたい。毎年、丹精込めて米づくりに励む農家さんにありがとうの気持ちをもって、大切に食べているが今年はさらに頭を低くして食べさせていただく所存である。
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昨今、秋田県が力を入れている枝豆「リュウホウ」。専門家ではないが、受賞品は粒が大きくてキレイなのが素人目にもわかる。枝豆のほか、大豆は、日本の伝統食、味噌、豆腐、納豆などにかかせないものであるにもかかわらず、ほとんどを輸入に頼るという切なさ。大豆自給率100%を目指して日本の大豆づくりには陰ながら応援していきたい。
ちなみに、いつか大豆農家というほどでもないが、大豆づくりに挑戦してみたい野望があるわたくしめはこのブースを長時間にわたり観察させていただいた。
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秋田といえばきりたんぽ。きりたんぽといえば、根っこ付きのセリ。野菜の根っこを食べるというと、「え~食べられるの?」という方も多いかもしれないが、セリの根っこは甘くて絶品。この根っこがなくちゃ~本物のきりたんぽを食べたことにはなりませぬ。
実はフルーツ王国秋田
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フルーツ天国といえば、山形、りんごといえば青森と思っている人が多いでしょう。秋田県人のわたしもである。
が、宣伝が下手なだけで秋田もおいしいフルーツが大量にあるのだ。
特にりんごの「秋田紅あかり」。これはね、密が多くて、シャキシャキしててそんじょそこらのりんごには負けませぬ。
なまはげで有名な男鹿は梨の産地だし、小野小町ゆかりの地に近い、十文字はさくらんぼの産地。スイカもあるし、ぶどうもある。個人的にはシャインマスカットに手は出すんじゃないよ、他がやっているからと思っていたが、シャインマスカットにも手を出している。
米どころ秋田だけでなく、フルーツ天国秋田といわれるまで、ほそぼそと秋田フルーツ応援活動を続けていこうと思う。
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実はダリアの生産も盛ん。ダリア園なんてものもある。
食用菊もおいしく咲くのは実家で証明済み。
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これぞ、秋田のゆきんこルック、俵お衣装セットも出品。
俵お衣装セットはさすがに来たことがない。ちなみに雪の上を歩きやすいといわれる、俵靴もはいたことがない。
「昔の秋田県の小学生は俵靴を履いているイメージ」と昔いわれたことがあるが、外国人が日本人を忍者や侍ルックだというのと同じレベルである。
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最後は甲子園で雑草旋風を巻き起こした金足農業高等学校の生徒が手掛けた米麹だの、卵だのジャムだのを一通り購入。
なんでしょうね、若い子が頑張って作っているのをみると、財布のひもがゆるゆるになるのは、完全におばちゃんになった証拠。
卵なんて、10個入った1パックを200円で売っているもんだから、
「もっと値段あげなさいよ」
と余計な忠告までする始末である。
その隣の男鹿高校水産科が手掛けた「鯖缶」にいたっては余計なことをいわなければいいのに
「日本海って鯖とれましたっけ?」と聞き
「いや、とれることはとれますが、この鯖缶はオルウェー産です」
と罰が悪そうに答える高校生。すみません。職業病でつい余計な質問を・・・
ということで、こちらも1セットご購入。
メイン会場では出品の展示やご当地グルメ販売などがされており、別会場の道の駅では民謡ショーなども行われる。ということでいくつか会場が分かれているのが基本。
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そのほか、スマート農業に欠かせない農業機械化ショーも車で5分ほどのところで開催。ここは出店も多く、人気の会場。
次年度、秋田の種苗交換会に行ってみたい!と思われた方はまずこちらの機械化ショーや出店のほうにいくのをおススメする。毎年ここが一番賑わい、駐車場渋滞にはまるブースというのはリピーターなら知る事実。ということで、わたくしめはそんなことも知らず、主会場というんだから一番メインだろう=混雑と予想し、品評会のほうに先に行き、石川翁に心を奪われ、時間ロスした結果、機械化ショーの大渋滞にはまったのである。
車で移動しようとせず、無料シャトルバルを使うのも手かもしれない。
あともう一つ渋滞がある。
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男子トイレが大渋滞。女性トイレがこんなにすいているのはなかなかお目にかかれない。男性は飲みすぎ注意である。
物価が高いだのなんだのスーパーにいくとつい愚痴をこぼしたくなるが、実際の農家さんに触れ合うと、支援する意味でも高いなんていってらんないと思うはず。ただ、ひとついいたい。
規格外が多すぎる!規格外でもなんでも店頭に並べてほしい。
が、これもブランド力が下がるとかなんとかで一筋縄でいかないらしい。
種苗交換会なんて全国的にも稀有な素晴らしい取り組みをしているんだから、秋田県のJAが一丸となって石川翁の精神を未来へつなぐべくPRほか、さまざまな取り組みを率先してやってほしい。
来年は鹿角市で開催が決定した。秋田空港よりも、大館能代空港のほうが近いので、秋田犬にもあいにきてけれ~!
今日も読んでくれて、どもな~(秋田弁かもしれない)
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