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一期一会がつながるワインバー
大阪の十三といえば、立ち飲み、安い居酒屋、がやがやしている、大騒ぎしている人が街中にあふれている、反対にカウンターしかない小さいお店にお母さん手作りのお惣菜が並ぶこじんまりとした店・・・
そうした下町風情の店が多くあるイメージがあった。というのも、十三は知っていても行く機会がないのと、1人で行くには大阪人の圧にまけて帰ってきそうなそんな感じがしていっていなかった。
たまたま友人が昔、十三で働いていたことがあって、そのときによく通っていたお好み焼き「みっちゃん」に行きたいという話になり、初十三へ。
駅を降りるとそこはパラレルワールドと思いきや、意外とキレイにまとまっていてごちゃごちゃした雰囲気がない。大阪の天満駅周辺を想像していたのだが、大阪らしさの中にも新旋風を巻き起こしそうなお店もちらちらとあり、これは探検が楽しそうだなと早速わくわくしてきた。
まずはお目当ての「みっちゃんへ」。●●ちゃん系は広島風お好み焼きのイメージがあり、これまた大阪な感じはしなかったが、れっきとした大阪のお好み焼きだという。グーグルマップに導かれていった先にみっちゃんはあった。あったが、「店主、体調不良によりお休み」のお触書。
昔あったかな~的な店を訪問するとなくなっているか、体調不良、後継者不足なんていう張り紙がはってあって寂しい限り。
さて、どうするかと十三駅前の細い路地をうろうろと歩き、串カツにしようか、お惣菜が並ぶお母さんのお店にしようか・・・
すると道と道の間の三角コーナーにうまい具合にはめ込んだ建物を居抜きしたお店を発見。三角形にカウンターを配置し、真ん中にいけオジ風の店主がワイングラスをふいている。カウンターにはバンドマン風の若いのかおじさんなのか暗がりでわからない男性4名が談笑していた。
三角の一辺のカウンターは4人組バンドマン風が占領していたのだが、反対側は誰もいなかった。おしゃれな照明が狭いカウンターを照らし、不思議な空間美を作り出している。
しげしげと眺めているといけオジ店主が入らないのかと目くばせしてきた。
オープンなお店なので、一杯だけ飲んでさくっと帰ってもよさそうだ。導かれるままに入ると、ナチュラルワインのお店で、赤、白、オレンジ、スパークリングなど、それぞれ3本ずつ用意されている。
ワインは好きだが、特にこだわりの舌を持っているわけではないのでなんとなくおいしそうなラベルのものを選んでみた。
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甲州のスパークリングワインはすっきりと優美で余韻がいつまでも続くワイン。
一杯飲んで、すぐに出ようと思ったのだがずっとそこに居座りたくなる不思議な空間を作り出していて、つまみまで頼み始めてしまった。
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砂肝のコリコリした食感とオリーブオイルがいい味を出している。こうなってくると赤ワインが必要になってくる。
なんとはなしに長居をしていると夫婦らしき二人組が隣にきた。
「今日の赤ワインはなにかな?あら、あなたたちが飲んでいるのな~に?」
なんのためらいもなく話かけてきた。
「わたしはイタリアのワインなんですけど、飲んだあとに葡萄の甘さと酸味がす~っと入ってきて、この砂肝にあうんですよ」
へぇ~とワイングラスを眺めて店主を呼ぶ。
「わたしも同じのお願い!」
ここには週1でくること、近所に住んでいる夫婦であること、来るたびに違うワインが飲めること、夫婦喧嘩をしたらここにくること、十三は面白い場所などなど地元ならではの話をしてくれた。
ほどなくすると、またカップルが入りたそうに覗いてきた。するとみんなさあさあ詰めて、二人分スペース作ってと全員が店員になったかのよう。そして、ずっと昔からの友だちのように話だす。
さまざまなところからきて、この三角コーナーの一角にあるワインバーに集まってくる。老若男女、業種問わずみんながみんなその場の主役であり、脇役であり一夜限りのドラマを作っていく。一期一会とはよくいうけれど、一期一会をつないでいく、そんなワインバーに感じた。
今日はまっすぐ帰りたくないな、誰かとしゃべりたいな、ちょっとワインでもおしゃれにひっかけたいな・・・そんな心と体を癒やしたいときにリラックスできる場のような不思議な雰囲気のワインバーが十三にあった。
不思議な空間のワインバーuoyaki
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