うつぶせ卒業
物心ついたときから、うつぶせで寝ていた。あおむけで寝ようが、横向きで寝ようが、起きたときは必ずうつぶせだった。
それはなぜか。赤ちゃんのころ、何飲んでもゲ~ゲ~吐いてしまう燃費の悪い赤ちゃんだったようで、嫌気がさしたお母さんは吐かないようにうつぶせに寝かせたの♪ なんてかわいくいっていたが、一歩間違ったら死んでいたのでは?と思うのである。今現在、元気で生きているからよしとする。
弟と一緒に帰省したとき、暖房がもったいないからと同じ部屋に布団をひかれ、弟が、朝起きたときのこと。うつぶせで死んだように寝る姉がほんとに死んでいるのかと思い、鼻に指をあて、生きてるかどうか確認したそうだ。
うつぶせで寝るなら枕はいらないと思われるだろうが、枕としてではなく息継ぎのために枕が必要だった。枕と敷布団の間の隙間に鼻をいれ、そこで息をしながら眠るためだ。
「俺、数人の女と寝起きしたことあるけど、うつぶせの人みたことないけど。変だよねえちゃん」
と言われた。確かに友人と泊まりにいっても、うつぶせで突っ伏して寝ている友人を見たことがない。うつぶせで寝ないと爆睡できないもんだから、腕枕は皆無。うつぶせで眠るわたしをみて、この女、おかしい・・・と思われていたのか、彼氏を長続きすることもなかった。うつぶせが原因だったのかは定かではない。
それでもうつぶせじゃないと爆睡できないんだから仕方ない。
そう思ってうつぶせと付き合ってきた。
うつぶせは腰に負担がかかろうが、首が痛くなろうが、そんなの関係ねぇ~。爆睡しないとパフォーマンスが落ちるんだから付き合っていかないといけないんじゃーーー!と一生うつぶせ寝を覚悟していた。
が、このたびあっけなく卒業できた。
助けてくれたのは抱き枕ハグミン。
ひょんなところからいただき、届いたブツがかなり大きくてもてあましていた。何かに抱きついて寝る習慣もないもんだから、さて、どうしたもんかとしばらくタンスの肥やしになっていた。
が、寒さが厳しくなり、家の中でぬくぬくしたくなるにつれ、抱き枕ハグミンの触り心地にいやされるようになり、とうとう引っ張り出した。
最初は昼寝用にソファの上に。天国の寝心地といったコピーだったが、こんな変な形で包まれても、そんな気分になるのだろうか、そして、揚げ足取り大好物女からすると天国の寝心地って天国にいったことないのに、どんな寝心地なんだよと突っ込んでみたり。
いろいろ悪態をつきつつもまずは、すっぽりと包まれてみた。まさに包まれてみた。包まれちゃった!すごい、これはすごい。U字型の丸い部分に頭をのせて両手をちょんとのせるとなんともいえない気持ちよさ。
この楽天の商品ページの女の人のように横向きになってかわいく抱きついてみると、フィット感が半端ない。
あっという間に、睡眠の森に誘い込まれた。ソファでお昼寝するときはあおむけで寝れるが、果たして夜寝るときはいかがなものか。
布団の中にハグミンをもぐりこませて寝てみる。やっぱり包まれている。しかも、寝るときにはじっこを確認しないと落ち着かない、端っこ症候群のため、完璧に囲われているハグミンは安心感がものすごい。この狭い空間に体を置く心地よさ。横向きになると自然と枕に抱き着きたくなる。抱き枕ないと寝れないと言っていた友人を、なんておこちゃまなんだと鼻で笑っていたが、ここで謝罪する。抱き枕がないと寝られない。というかかわいく寝られるようになって心もウキウキ。
うつ伏せで寝ることもなくなり、おかげで腰の痛みもなくなり、首も痛くなることもない。早く出会いたかった!とよくある商品コメントのような言葉が口から出た。
ただここで問題。旅行にいくとき、実家に帰省するときはどうしたら?まだハグミンなしの生活をしたことがないので今週の出張に戦々恐々としている。