名もなき街角にワクワクする気持ちを忘れない
前回までのブータン旅行記はこちら。
「ゲレプはマインドフルネスシティの開発は進んでるけど、観光名所もないし、おしゃれなカフェもないし、たいしたところに連れていけなかったけど、楽しかった?」
帰り際にチュキが笑いながら半ば本気で言ってきた。
有名な世界遺産や絶景があればそれはそれで旅の目的になるかもしれない。でも、今や4Kだの8Kだので美しい映像で絶景がみられるし、ドローンを飛ばしたらヒマラヤの山頂から見える朝日や夕日も高画質でみられる。実際に見るのとは全然違うけど、疑似体験ができる。
何もないなんて思っていない。荒涼とした大地、インドとの国境の雑多な風景、インド人たちのブータンへの通勤の様子、ブータン人、ネパール人、インド人の服装の違い、なにより一般家庭(←チュキの家は豪邸だったけど)で、暮らすように過ごせたのがなによりも楽しかった。ウロウロして、地元の人に声をかけられて、茶でも飲んでいけとありとあらゆるところで無料のお茶を飲んで、おなかをたぷんたぷんにして歩いたのも思い出深い。
有名でなくても、ただ街をぶらぶらするだけでいろんな発見がある。名もなき街角にも異国にいるというだけでワクワクする。その先に何があるのかな・・・この角にある古い建物はザ・ブータンらしい古民家だけどどんな人が住んでいるんだろう・・・想像を膨らませて歩くのが楽しい。
初めて海外に行ったときは、飛行機に乗るだけでも新鮮だった。さすがにその新鮮さはうすれてきたが、自分が住んでいるところではない別の場所に身をおくこと、それ自体にワクワクする20代のころと同じ気持ちをまだ持てていることをブータンで実感した。
名もなき街角をおもしろがり、そんな旅を楽しめる人でありたい。
乗り合いタクシーに乗ってすぐ、チュキからこの写真が送られてきた。
「あなたは何にそんなに食い入るように見ていたのですか?」
わかりません(笑)