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湯気、霧、蒸気、雲海、気嵐?!真冬の秋田で出会った幻想的な風景の正体とは?

秋田の冬は水墨画の世界が幾日も続く。

空には重いグレーの雲、地面には一面の雪。
そんな日々の中でも太陽が急に顔を出し、反射した雪がキラキラと輝く日がある。

2月中旬のとある日。
前日は最高気温マイナス1℃、翌日は季節外れの最高気温6℃予想。
朝から晴れ予想の天気予報をみて早起きしてウォーキングに出かけることにした。

夏は緑が生い茂り、秋は稲穂がたれ、黄金色の世界を見せてくれる田んぼに
朝日が昇り、秋とは違う黄金の世界に出会った。


冬の秋田の気温が高い日の朝

この田んぼの上にぼぉ~っとたちこめる雲海のようなものはなんなのか。

雲海とは

山頂や機上から見下ろしたとき、海のように一面広がって見える雲

明鏡国語辞書

見下ろしてないし、雲でもないから雲海ではない。

湖や海水面から立ち上がる霧を「気嵐」というが・・・

海、河川、湖などの水面から湯気のように霧がたちこめる現象

コトバンク

水面ではないから気嵐ともいわない。しかも

夜間に放射冷却によって冷やされた陸上の空気が温かい海上などに流れ出し
水面の水蒸気を冷やすことによって発生する。気温が最も低くなる早朝に発生。

コトバンク

やはり違う

ということは単なる霧?

大気中の水蒸気が集まって細かな水滴となり地表や水面近くで煙のように立ち込めるもの。

明鏡国語辞書

うん、合致。やはり霧か・・・
しかし、霧でひとくくりにしてしまうにはもったいなすぎる現象。
なにか気象用語、季語とかあるに違いない。

この日は太陽が顔を出したおかげで寒さも緩んでいる。
ということは雪が蒸発して霧になっている・・・蒸気霧では?

と調べると、気嵐は別名「蒸気霧」なのだそうだ。

となるとやはり違う。

この美しい現象を「霧」の一文字で終わらせるのは惜しい、何か特別な言葉があるはずとよくわからないものに突き動かされ

「雪 蒸発 田んぼ 冬」

でグーグル先生に助けを求めると、新潟で同じ現象を発見!

「雪から水分が蒸発したわけではありません。空気中の水分が雪面で冷やされ、霧になった」
最高気温が7・1度と暖かかった上に、湿度が100%近く。
目に見えない水蒸気を多く含んだ暖かい空気が、零度近い雪面付近で冷やされたことで、水蒸気が凝結。目に見える湯気(霧)になったという。

朝日新聞デジタル

これこれ!全く同じ現象で、しかも完全に腑に落ちた。

それにしても湯気とは・・・

一番気になっているこの美しい現象にぴったりの気象用語はというと

「ない」

で締めくくられていた。なんとあっけない。

結局は、湯気、霧という言葉で終わったしまうらしい。
残念すぎる。

雲海ブームにのって、各地の山々に雲海テラスなんてものを作って集客している自治体もあるから、雲海のようなネーミングがあれば、秋田の新たな観光地となるかも!と思ったのだが、

「秋田の幻想的な湯気(霧)に会おう!」

なんてPRしても、湯気?霧?そんなんうちの近くでも見られるぞとスルーされるに違いない。

問題は、気温・湿度・風の強さの3つの条件が揃えば比較的見られる確率が高い雲海に比べて、田んぼの上の湯気や霧は予想が難しいそうということ。

確かに、前日にある程度、粉雪レベルでも雪が降って、次の日の朝、太陽がばっちり顔を出して、さらに気温が高い日なんて、12月~3月の間に何日あることやら。

秋田の友人たちにこの写真みせるとみんな

「へぇ~、うちの近くでこんな絶景みられるんだ、今までみたことがない」

と全員から言われたので、この超珍しい現象を観光の目玉にするのは難しい。

小正月のお祭りやイベント以外で秋田の新たな観光ポイント発見!
と一人小躍りしていたが、あっけなく断念。

そもそも、太陽が出ない日にこんな霧が出たら、朝日新聞デジタルの記事にある新潟のように国道で前が見づらい状態=交通事故の危険性もあるので、その地に住んでいる人にはつらい現象だ。

さほど出現率が高くない冬の東北の田んぼの上の湯気、霧。

もし、秋田滞在時に天気予報で太陽マークが大きく出た日はお見逃しなく。

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