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featurecompass
白熱灯のもとで
「うちら何歳になったけ?」
「何歳かわからなくなるよね」
小中学生時代の友だちと昔話をするときはもう30年以上前になるんだから四半世紀をすぎている。ただ、同級生なんだから誰かひとりくらい年齢をすぐに言える人がいてもいいものだが、すっとぼけているのかほんとにわからないのか、大体いつもこんな話になる。
「ねえねえ、こないだテレビで●●って国の映像みたいんだけど、行ったことある?」
世界一周バックパッカー経験ありのわたしにはこんな質問がとぶ。
「あ、そこ行ったことがあるよ」
自慢げにバックパッカー時代に行ったときの話をするも、それも四半世紀前。なんだったらユーロ導入前で国をまたぐごとに両替をしていた時代で、そのときのあれやこれやを話しても、なんの役にもたたない。
そんな話をしていると、本当に自分が何歳かわからなくなる。鏡をみればそれなりにシミしわがあり、ほうれい線もくっきり浮かび上がり年をとったことを自覚するのだが、頭と心がついていかない。
頭と心が30歳くらいで時が止まっているのだ。というのも、大体、そのころに自分の価値観や仕事観、好みが確定してしまっているため、そこからさほど変化がないから年をとったことを忘れるのではないかと思う。
しかし、やっぱり年をとったんだと実感するときがある。公共施設のトイレで白熱灯のもと、若い女子が隣でお化粧直しをし、自分は手洗いを終わり、顔をあげた瞬間、おそろしく年をとったことを実感する。
だからといって、若作りして若く見られたいとは思わないのだが、それでもやっぱり白熱灯のもとにいるのはちょっと気が引ける。
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