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【詩】ダーウィンへの仕送り
体はいつもおもい
ネイルしたらもっとおもくなる
布をまとわなきゃいけなくなって
二足歩行にまだ慣れてないのに
ピンヒールじゃなきゃ歩けない
気づけば電車に揺られている
さっき起きたのにもう夕方になっている
寒いのに足を出しているわたしを
バカにするおまえらとわたしは、
一緒に進化してもっとバカになろう
雨は降らないのに傘を持っているのは
空が近くなったのがこわいからって
隣の席のおばあちゃんに言った
あおもりのおばあちゃんの顔をしていた
席を立つと知らない年配の顔をしていた
どこにいくの?
目の前の子供に聞かれた。
田んぼ。
春の田んぼ。
長靴じゃだめだよ。
ふくらはぎで閉まるやつ。
あれ、借りなよ。
言っとくからさ。
ありがと。
目の前にいた子供が女子高生の鞄になった。
泥に足をひっぱられてに何度も転んで
指がまっくろになってる
ふるさとなんてないよ
もうもどりなさいね
ふるさとなんてないよ
ホースであらっときなさいね
ふるさとなんてないよ
田植えには早いと思ったけど、
もう終わったから、また電車に乗った
次の駅から出てすぐの定食屋で
塩サバ定食を頼んだら
うちの米がつかわれていて
ぜんぶがおもたくなって
這いずりながら出ていく
傘を電車にわすれたことに気づく
ビニール傘を愛せる人間に
なれたらもう思い残すことはない
の です。
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