介護職員が親の介護で仕事を辞める?!⑦
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それからというもの、姑は8ヶ月もの間、このA老健で過ごしていた。
本来、老健は半年が入所の限度なのだが、施設検討中という所で最大限、スムーズに次のステップに向かえるように待って下さっていた。当時の相談員さんには、感謝してもしきれない。
老健は4人部屋、見慣れない環境、何をしたらいいかもわからず、姑は全く落ち着かない様子だったが、とりあえずはグループホームへ入居するまでのステップだと思い、入居先を検討した。
実は、家から50メートルほどの所にグループホームがあるのだが、姑の昔住んでいた家のご近所さんがパート職員で働いているらしい情報を得ていた私は、そこはやめておこうという方針でダンナと意見が一致した。
自分と同い年の知り合いが、かたや介護士かたや入居者とは、気まずい以外の何者でもないだろうし、私だったら嫌だ。
私は、政府がよく謳っている
『地元でずっと認知症になっても生活ができる社会を』というコンセプトは、失礼ながら…かなり日本人には不向きだと思っている。
人に同調し、気を遣い、何よりも変化した姿を見られたくないという気持ちが大きい傾向が強いからである。
どの人も、認知症になって、色々な周辺症状が出て来るかも知れないのに、認知症になったその人だけを特別気の毒とでも言わんばかりの目で見るし、近づかない。自分がそんな風に接されたらどんな気持ちになるのか、想像もしようともしない。
まだまだ、認知症の方が共生できる社会は先の話だ。私が生きているうちに、そうなるといいなとは思うが。
現状、地元でずっと認知症の理解を得て生活ができる人は、ほんのひと握りであり、知っている人が職員としてそこに居る事で、安心するどころか萎縮してしまうだろう。
無いとは思うのだが、女同士の関係性は意外に溝が深かったりもする。
もしかしたら姑が認知症で入居者と分かった途端に、姑息にマウント取られるかも知れないし。。。
スープの冷めない距離のグループホームはやめて、2つ隣町のグループホームに申込をした。
2人待ちだそうだ。
グループホームは、要介護であれば重度になっても医療依存度が高くなければ、最期まで見てもらえる所が多い。
逆を言えば、亡くなられるか入院になって、退院の目処が立たない、あるいは療養型に転院になるなどにより退所とならなければ、原則空きは出ない。2人待ちとはいえ、先は長い。
様々な形態の施設を検討したが、どう考えても姑の場合は、グループホームしかなかった。
姑は、身体は元気だし排泄も自立。
ただただ、認知症だけが突出して進行している。
手順さえ教えれば、家事もこなせる。
一人の時間も欲しいが、基本的には職員が見守っていて、声をかけてやらないと混乱する。
サービス付き高齢者向け住宅に住まうには、失見当識の症状が顕著過ぎて、マンションに一人暮らしのような感覚のサ高住は彼女の認知症の程度からは到底難しく、無趣味な姑は、余暇を楽しむ感覚もなく、恐らく閉じ込められたような気持ちになり落ち込むだろう。
いくら、近年安めの施設が出てきているとはいえ、有料老人ホームに入るほどの経済力はない。
特別養護老人ホームに入るには、介護度が低すぎて無理だ。
まさにグループホーム向きな人なのである。
⑧へ続く