お金の稼ぎ方ではなく、お金との付き合い方を教えてくれる一冊 「サイコロジー・オブ・マネー」書評
お金に「使われる」奴隷となるか、お金を「使う」主人となるか……。歴史はお金と人間関係の複雑な絡み合いを何度も見せてきた。本書「サイコロジー・オブ・マネー」を読むことで、富に対する考えを一新させることができるだろう。
「サイコロジー・オブ・マネー」は、モーガン・ハウゼルによって書かれた、お金と富に関する心理学を探求する本である。この本は、単にお金を稼ぐ方法や資産を増やすテクニックに焦点を当てるのではなく、お金に対する私たちの考え方、感じ方、そしてそれが私たちの行動や決定にどのように影響するかを深く掘り下げているという点で、他の類書とは一線を画す。
彼は、歴史的な事例や統計データを用いながら、なぜ多くの人が資金面の判断で失敗するのか、そしてどのようにしてそれを避けることができるのかを説明することで、人々がお金に対して持つ一般的な誤解や、金融の世界で成功を収めるために必要な心理的なマインドセットを紹介する。
富を築くためのポイントは「忍耐力」
本書の魅力の一つは、ハウゼルが複雑な金融理論やジャーゴンを避け、平易な言葉でアイデアを伝える能力にある。彼は読者が日々の生活の中で直面する実際の問題に焦点を当て、それらを解決するための実用的なアドバイスを提供してくれる。
よく言われることではあるが、お金に関する私たちの行動や信念は、論理的な判断ではなく、その瞬間の感情や周囲の視線、過去の経験などに左右されることが多い。そのため筆者は、富を築くためには何よりも忍耐力が必要であると、ことあるごとに強調している。
本書は「サイコロジー・オブ・マネー」というタイトルであるが、お金に困らない生活を実現するための具体的なステップを提供するだけでなく、より豊かで満足のいく人生を送るための思考の枠組みまで提供してくれる。
この本を読むことで、単に富を築くこと以上の価値を理解し、目先のお金の多寡に惑わされない人生を送ることができるはず。オススメの一冊です。