われに触るるな


卓上の逆光線にころがして
  卵と遊ぶわれに触るるな
---築地正子

歌詠み、歌つくりとは孤独な行為なのだろうか。潔癖とも傲岸ともとれるこの歌には、しかし殻にこもる自閉は感じられず、むしろ外の世界と卵をつなぐ逆光線が、「われ」を照らし出しているようにみえる。高潔にて、触れたくとも触れられぬ「われ」が、卵を指でもてあそぶとは、いかにも高貴で象徴的、一枚の絵画のように目に浮かんでくる。






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