顧客の声が真実とは限らない
ある食器メーカーが「次に買うとしたらどんなお皿がいいか」というテーマで《主婦5人》にグループインタビューを行いました。
参加者は、デザイン案や体験談をもとに討議を進め、最終的には「これまでと違う、オシャレでカッコいい黒くて四角いお皿」という意見でまとまりました。
そして、インタビュー協力のお礼に、食器サンプルの中からどれでも好きなお皿をひとつだけ持って帰っても良いことに…
すると、参加者全員が持って帰ったのは、結局は「白くて丸いお皿」でした。
その理由を尋ねると「4人家族なので、一枚だけ色皿を貰っても仕方ない」「家にあるお皿はほとんど丸いので、四角い皿は収納に困りそう」という現実的な理由が…
さて、お客様の声と現実的な理由では、どちらが信用できそうでしょうか?
お客様の理想の声である「黒くて四角いお皿」よりも、実際に持って帰った「白くて丸いお皿」こそが、顧客視点から導かれた真のニーズと言えるのはないでしょうか。
実用性や機能性よりデザイン重視や奇をてらった商品が悪いと言うわけではありません。
もちろんデザイン性も大切ですし、珍しい(他には誰も持ってなさそうな)商品などにも需要はあります。
オシャレ重視の人は少なくないのです。
でもここで大切なのは「それが使われるのはどの場面なのか」「誰が相手なのか」という事です。
上記の場合だとターゲットした相手は「主婦」の方々でした。
「かっこいい」「素敵」となったのは黒い四角のお皿でしたが、実際に持って帰られたのは凡庸性の高い白い丸いお皿です。
このターゲットが「レストランBARの経営者」だった場合は、もしかすると違った結果だったかもしれませんよね。
また「持って帰れるのが1人5枚」だったとしても結果は違ったかもしれません。
「欲しい」と「実用性」には、この様なズレがある事がままあるのです。
真の顧客視点で考えることも大事ですね!