
娘と私、それぞれの心境の変化
娘が退院して
退院初日は、娘は退院の喜びから興奮ぎみに話をしていて良く喋るようになったな、という印象を持ったのだが、次の日からは、元の、入院前の状態の娘に戻った。
入院前の状態とは、幼稚園児のように駄々を捏ね、私から離れず、夕方になると何もかもが急に嫌になって泣き出す……こんな状態だ。
さらに、退院後は、一人になるのも拒否し、自分の側から誰もいなくなると
「私はどうすればいいの?(泣)行かないで!」
と私を制止させる……
留守番は出来ない、私はお風呂もすんなり入れない……
なんだか甘えがひどくなったように感じた……
さらに、追い討ちをかけるように、タイミング悪く、末っ子が風邪を引いてきてしまい、強迫性障害の娘は、末っ子の風邪が、自分や家族の誰かが移らないか、そればかり何度も何度も訊いてくる……
(幸いにも今のところ誰も移っていない)
その時思ってしまった……
私は、入院で娘と離れ離れにされた事をずっと悲しみ恨んでいたが、1ヶ月間娘と離れ、再び娘のそういう態度を目の当たりにすると、
「あぁ、またこんな状態の娘をみないといけないのかぁ……」と、何故だか苦しくなった……
私は娘の入院中の1ヶ月間娘と離れることで、気付かなかったストレスがあったことに気付き、びっくりした。
やっぱり現実は厳しい
入院中、たくさん話を聞いてもらって気持ちを落ち着かせていた娘。
しかし現実は………
私は仕事もあり、下の息子達の世話もあり、話を聞いてあげたくても出来ない時がある。全てが娘中心に回っているわけではない。その事自体は、娘も分かっているはず。でも今の娘はその気持ちを抑えられない。
病気前の娘はそういう状況をいち早くキャッチし、私が負担にならないよう配慮してくれていたのに……。
その反動のように、今は、娘の世話に追われ、下の息子達が我慢している状態だ。
そして毎日、薬の影響で朝が起きられず、無理やり起きて朝御飯を食べて、また寝て、昼に起きてからもぼーーっとしている……
こんな状態で良いのかと焦る気持ちを押し殺して、
「今はゆっくりしようね、周りがバタバタと動いているから焦ると思うけど……」
と、私は娘に言い聞かせながら、自分に向けて言っている。
1ミリずつ、進む
そんな生活を送りながらも、2週間が経とうとしている。
最近では、朝から二度寝せずに起きていることが出来たり、散歩したり、少しの時間、勉強をしたり出来るようになってきた。
グズグズ言うことも少なくなった。駄々を捏ね、キッチンの冷たい床に寝そべって泣くのも減った。
一人で留守番出来るようになった。
私が忙しい時など、自分の部屋で一人過ごせるようになった。
学校に行きたい!と意欲も出てきた。
でも、
私達は『入院』という大きな出来事で、各々考えが変わった。
娘と私、各々の考え
娘は、以前の考えとまるで正反対の考え方になった。
例えば、
特別がいや。普通が良い。
世の中の皆と同じが良い。
以前の娘は、皆と同じ人生なんてもったいない!せっかく生きているんだから好きな事を目一杯して人生楽しみたい!と語っていた。人と違った人生を歩む事を素敵だと思い、自分もそうなりたいと思って行動も積極的にしていた。
今は、皆が歩む人生を自分も歩きたい!と言う。皆がやってる勉強や学校に通う事、高校卒業したら、大学か専門学校に行く。いわゆる『普通』と言われるもの。
娘は普通の事がしたい!と言う。
ここで言っておくが、娘は勉強が大の苦手。頑張って教えてもなかなか覚えてくれない、覚える気がない、そんな感じだった娘なのに、先ほどのような発言。
私は娘の心境の変化に、目からウロコだった。
娘は入院中、たくさんの方々との交流、自分自身考える時間がたっぷりとあった。その影響は大きいであろう。
でも、上記のような考えは、すなわち新しい事をやりたい!という意欲であり、それにはやっぱり勉強をしないといけないと分かったからであろう。IQが少し低めの娘なので心配ではあるが、本人のやる気次第で何とかなると、私はそっと見守りたい。
私の変化は?というと……
以前の私だったら、娘は私がいないと駄目なんだから、だから母親役と友達役をこなして、友達がいない娘の為に色々手を尽くした。
だけど、それをやめた!
どんなに友達ぶっても娘にとってはお母さんはお母さん。
「私さえ娘の側にいれば、何とかなるか……」と、娘の事を本気で考えてない自己満な自分もいて……
でも、娘は入院中いろんな方々と話が出来たと聞いて、私は
「私がいなくても娘が生きていけるようにしたい!」という気持ちがとても大きくなった。
もっと他人とふれあって欲しい。そして、いつか娘の事をわかってくれる素敵な人と幸せになって欲しい!✨
こんな気持ちがどんどん膨らんでいった。
だから、娘の『出来る!』をもっと増やそう!私が先回りしないで出来る事は娘にさせていこう!と思った。
娘が段々と生きづらくなっていった頃から、いつの間にか私は、「私が支えてあげなきゃ!私さえ娘のそばにいれば何とかなる」と思うようになっていった。
心の片隅では私が死んだらどうなるの?という気持ちがあったけれど、とりあえず今は……と、私はその気持ちを見ないふりをした。
そして娘も「お母さんがいればそれだけでいい」とよく言う。
そう、今思えば、二人で一人みたいな感覚だった。
でも、これじゃ駄目だと本気で思った!
自分の力で立って欲しい!
何でも私任せじゃなく、私がいなくても自立出来る娘でいて欲しい!
そう強く思うようになったのは、入院を薦めてくださった先生のお陰だ。
先生が気付かせてくれた。
娘は、そんな私を勘違いしている。退院してから今までのように優しくない!なんて言う。
そんな事あるわけない!
娘の事を大事に思うからこそ、私はこの考えに到った。
心の片隅の気持ちから逃げずに、やっと、真っ向から向き合うことが出来たのだ。
遅すぎたかも知れないが…………
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。