【詩】風の時代 吉祥のジンクス(吉祥寺で楳図かずおさんを見かける)
吉祥寺で楳図かずおさんを見かけたら
何かいいことがあるって
当たり前のように聞いていたけれど、
わたしの記憶では
21年前の正月、元旦か2日に、
そういえば吉祥寺のカフェで
楳図かずおさんが一人、
お茶をしていたのを
通りから見かけたことがある。
その年のリオのカーニバルは
2月9日からで、1ヶ月も切っていたときに
リオのカーニバルに行きたい!
と思い立ったことがあった。
五反田のブラジル領事館でビザを取り
フライトのチケットを買って
準備をしていたら、出発の3日前、
すでにリオデジャネイロに行っていた
サンバチームのリベルダージの
よりちゃんからメールが来て、
チャイナドレスを3着、買ってきてくれたら、
リオのカーニバルに出れるよ
カーニバルの山車の上で踊れるよ
と言うので、原宿の竹下通りで
チャイナドレスを3着、買った。
それで、リオのカーニバルで
3人でチャイナドレスを着て踊って、
アジアの味が珍しかったのか
リオのテレビ局のニュースで放送され、
日本から来た女の子が出たチームは
優勝して、来季は上に上がった
ことがあった。
それから、
ファヴェーラ(貧民街)の中にある
練習場で、朝までショカーリョ
という楽器の練習があったり
踊ったり、ごはん食べたりして
また、リオのカーニバルに出た。
その年の夏、毎日、聴いていた
Monarco(モナルコ)に会って、
ライブで歌を聴いて、お話して
サインをもらったこともあった。
ブラジル楽器をたくさん買い込んで、
どうやって日本に持ち帰ってきたのか
憶えていないが、ブラジルの色彩と一緒に
楽器を持って帰ってきた。
帰ってきたとき、2月の吉祥寺、
街の景色に色彩が少ないと感じたその年、
そういえば、その年の正月、
元旦か2日、吉祥寺のカフェで
楳図かずおさんが一人、お茶をしていた。
赤のボーダー柄を来ていた人の
そのときの表情は、
わたしが感じたことのない表情をしていて
この人、どうしてこんな表情をしているんだろう?
とずっと見ていたんだけれど、
わたしはジンクスを信じたことがないけれど、
そういえば、21年前、
正月の元旦か2日に楳図かずおさんを
見かけてから、そのときを振り返ると、
素晴らしく幸運に恵まれていた。
今、振り返ると、
危険いっぱいのところで
安心して遊んでいた。
それは、ジンクスの恩恵を受けていたのか、
楳図かずおさんの徳をいただいていたのか、
考えたこともなかったけれど
きっと、たぶん、そうだと思う。
風の時代になって、
今日、そんなことを思い出した。