みんなの道しるべとなるキッチンー#デザインを考える
わたしたちがEATLABという場づくりをするにあたり工夫してきたことや日々の実践の記録を「#EATLABのつくり方」と題してまとめています。場づくり、セルフリノベーション、地域のコミュニティなどのキーワードが気になるかたのヒントになれば。
以前、ホテルプロデューサーの龍崎翔子(@shokoryuzaki)さんがこんなことを投稿しているのを拝見しました。
新しい建物を建てるとき、あるいはフルリノベーションで全面改装をするとき、そこが何をするところか、説明しなくてもわかるデザインは、きっとできた後も使っていく利用者の道しるべとなり続けてくれることでしょう。
わたしたちのEATLABは食文化のオープンスペース。機能的にはコワーキングスペースとレンタルスペースを運営していますが、目的は「食を軸に豊かなコミュニケーションが育まれること」にあります。シームレスでオープンなスペースは自由度が高く様々な利用のし方が考えられる反面、どんな使い方ができるのか、想像がつきづらい、ということもあると思います。
今回は、そんなわたしたちにとっても利用者の方にとっても、利用の道しるべとなったらいいなと考えて作った巨大なキッチンについてお話ししたいと思います。
1)全長5m、奥行き1.2mのフラットカウンター
EATLABのコンセプトは「食べる研究室」。
台所がなければ話になりません。
未来に受け継がれていく食文化は、日常的な実践者がいてこそ。
ひたすらにレシピを書いて守り続けるものではなく、日一日と実践されながらその時代に即してアップデートされていくものです。
毎日のようにみんなでここでお昼を食べたり、イベントで使ったり、レンタルキッチンとして貸し出したり。
とにかくいろんな人に利用してもらってそこから生まれる会話が、食が人から人へと繋がれていきながらアップデートされていくエンジンなのです。
そのためにこそ、フラットなカウンターは譲れませんでした。
水道を使えば水が跳ねるかもしれないけれど、作っている手元が全部バレてしまうけれど、カウンターの内側と外側につい立てはありません。
2)みんなでわいわい作らないと使い勝手が悪いほどの広さ
現代の家庭用の台所だと、カウンター式のキッチンであればなおさら、1歩2歩と歩くことなく、半歩でだいたいのものが届くようになっているところがほとんどだと思います。
昔の台所は少なくとも8畳くらいはあるような広さで親子三世代や、近所の人が来ても作業ができるような作りになっていますが、多くの場合、一人で料理をすることしかなくなってしまった現代の家庭ではそれではとても非効率。そんな広さの台所を見かけることはほとんどなくなってしまいました。
また、一人で使うのが当たり前になってしまった現代では、人の家庭の台所はどことなく入りづらいもの。
EATLABでは、カウンター式のキッチンでありながらも、キッチンの中もあえて広い作りになっています。
一人で使うと広すぎて使いづらいくらい。
お家じゃ他の人を集めてやりづらい作業こそ、EATLABでできたら。
おばあちゃんから子や孫へ。
ご近所さんと集まっておしゃべりをしながら作る。
昔はどこの家でも見られたそんな光景がEATLABで実現できたらいいなと思っています。
3)少しずつつくシミも味わいに。モルタル風天板
5mの巨大なカウンターはモルタル風塗料で仕上げています。
もちろん、モルタルで仕上げたらかっこよかったのですが、どうしても冷たくなってしまったり、DIYでは技術的にとても難しかったりしたため、使ったモルタル風塗料。
水が染み込んで跡になったりするのもまた味わいに。
みんなに使ってもらいながら経年変化も楽しみです。
道しるべとなるデザイン
いかがでしたか?
EATLABのキッチン。
石川県小松市という、これまでシェアオフィスやレンタルスペースがほとんどないような地域で、食を軸にしたオープンスペースを運営したい。
言葉だけ聞けば、なんとなく面白そう、と思うかもしれませんが、これまでなかったところにスペースを作ること、それはそのスペースを使う文化を作ることに他なりません。
そんな時、このキッチンがあるからこそ、こんなことしてみたい、あんなことができるんじゃないか、というような利用者にとって利用の道しるべとなるデザインをつくることが、このスペースを盛り上げてくれる思うのです。
以前にも書いた、「同じ釜の飯を喰らう」ことで食文化を実践していくのも、こんなキッチンがあるからこそ。
ぜひここから食を軸に豊かなコミュニケーションが生まれたらと願っています。
今日はこの辺で。
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