涙とともに種を蒔く人は#73
「涙と共に種を蒔く人は 喜びの歌と共に刈り入れる」
ふとした瞬間に思い出すこの言葉は、聖書の詩編126編5節にある。
プロテスタントの大学だったため、毎週礼拝があってキリスト教の講義もあった。
私はクリスチャンではない。
しかし、この「涙と共に種を蒔く人は喜びの歌と共に刈り入れる」の一節は大学入学時に出会いずっと心の奥で私を支え続けた言葉だった。
どんな人にも、どんなに笑顔で愛想よく元気に振る舞っている人であっても、抑えることのできない感情があると思う。
側から見れば幸せそうだったりうまくいっているような人でも、生きるのが辛いと感じる時はある。私も今までそんな日もたくさんあって、この感情から逃れられないのかもしれないという恐怖や不安はあった。
挫折や悔しい思い、悲しみに暮れる日々があって、それは繰り返し続いていく。それが生きるということなのだ。
それでも生きていく。
しかし、生きていくのは悲しいことばかりではない。
歩き続けて、頑張り続ければ涙は「喜びの歌」に変わる。
それを刈り入れる喜びを噛み締めることができるのは自分だけ。
涙で前が見えない時もある。
そんな時でも私には、喜びの歌を頼りに種を蒔き続けていきたいと思っている。