自分のコントロールで進む。
スキーは「有能感」を育むのに有効なスポーツだと、以前何かで見かけました。
滑る。止まる。曲がる。スピードを出す。スピードを落とす。これらは”こうしたい”という「意志」と”やってみる”という「実行」の連続で。上達していく過程で「意志通りに実行できた」という実感を自然と積み重ねられるのだと。だから自分はできるという有能感を育みやすいのだと。そんな主旨だったと思います。
別の視点で印象的だったのは、滑れない人がいたときに、教えたり、サポートしたりはできるけれど、その人が止まりたいと思ったときに止まらせること、曲がりたいと思ったときに曲がらせることはできない、ともありました。言われてみれば当たり前のことですが、とてもしっくり来たことを覚えています。
今年を除いて、ここ7~8年子どもと一緒にスキーキャンプに行っています。
はじめての子は当然止まれない。滑れない。たくさん転ぶ。でも練習するうちに少しずつ止まれて。滑れて。転んだら起き上がって。また滑って。自分の思うままにコントロールできる感覚を身に付けた子たちは、とてもいきいきとした顔をしています。周りの大人は、その子が自分自身で滑れるようになる過程を見守り、励まし、支える。
これって人生にも同じことが言えるんじゃないかと思いました。
自分の人生を生きてコントロールしているのは自分自身。こっちに行きたい、少し止まりたい、また進みたい、今度はこっちに行きたいと、小さくても自分の意志を実行する人生を歩めると、有能感が高まり、いきいきと過ごせる。
うまく進めなくても、転んでしまっても、誰かが代わりにすーっと滑ってくれるわけじゃない。ということを心に留めておく。そうするとつまりは自分次第だということ。遠くに滑っていきたいと思うなら、自分で滑っていくしかなくて。
みんな同じなんだ。
それぞれ板を履いて、自分にとって丁度よいスピードで、そろそろ止まろうか、それともまだ進もうかを考えながら、前を向いて滑ってる。速い遅いは関係ない。自分自身のコントロールで滑っているということが大切で。
人の人生は人の人生。自分の人生は自分の人生。誰かの人生をコントロールしない。自分の人生をコントロールさせない。
というか本来はできないはず。誰かの代わりに生きることも、代わりに生きてもらうことも。
自分自身の意志で着実に進む人生。
美しいゲレンデと同じく、清々しい景色にきっとたくさん出会えることを信じて。