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脳みそゴリラ化計画は親子に何を残したか

新型コロナウイルスの感染予防のため緊急事態宣言が発出された、令和2年の3月からの3ヶ月間は、学校は休みと聞いて子どもたちは喜び、私は青くなった。

休校期間はいつ終わるか分からない。その間の生活リズムを固めるには、とにかく初めが肝心だ。だから緊急事態宣言の出た夜にすぐ、国語、算数、理科、社会のドリルと原稿用紙を大量にネットでポチった。そうして、午前4コマの学習時間、昼食後に作文の時間、と時間割を決めた。

望まない勉強をやらされるとしても、できれば前向きな気持ちで取り組んでほしい。だから一連の学習を『脳みそゴリラ化計画』と名付けた。学力をゴリラのようにパワーアップさせよう、という意味のキャッチフレーズだ。決して退化の意味ではない。

子どもたちは存外素直に勉強した。子どもたちなりに、学校が休みだからって何も勉強しないのはまずいと思ったらしい。

学力がゴリラ化できたかどうかはともかく、再開後もスムーズに学校での生活に馴染めたのは、家庭学習を続けたからかもしれない。

学校に通い、黒板を向いて集中して座っているというのは、意外と体力が要る。座って姿勢を保つことが困難に感じると、今までは楽しく通学していたのに再開した途端学校が辛い、ということもありうる。

それに、望まないことだとしても、やることがあるというのは張り合いになる。好きなように外出できるわけでもないのに、これといってやることもなければ、気持ちが荒んでくるものだ。

休校期間もエンジンを切らず、アイドリング状態にしておけて良かった。

それにしても。おだて、なだめすかし、励まし、説得し、たまに粒チョコを与えて勉強を続けさせるのは、親にとっても忍耐が必要だ。もう止めたい、楽したい、という思いが頭を何度もよぎった。

けれど、赤ちゃん時代以来、こんなに長い期間一緒に過ごしたことはないという意味で、特別な期間だった。結局子育てって忍耐だな、と諦め気分になりつつも、それ以上に我が子を見守れることそのものが親にとっての報酬なのだ。

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