見出し画像

「了解しました」が「承知しました」に変わっていく、ゆるやかな時代の温度

仕事のメールやプライベートでのラインのやりとりで、とてもよく使っている言葉に「了解しました!」がある。初対面の人でも、こちらの軽快な雰囲気を出すために「了解しました!」と返すこともよくある。

なんの違和感もなく、数年間ずっとそれを続けていたが、ある人が「承知しました」と返信をくれた。その瞬間ふと、「ん?なぜ了解しました、ではないのだ?」と疑問に思った。

すぐさま検索、「了解しました」「承知しました」の違い、とは。

するとその結果に、どきりとした。「了解しました」は、目下の人にはいいが、目上の人にするべきではない丁寧語であること。目上の人には、「承知しました」「かしこまりました」がふさわしいということ。

これまで年齢もキャリアも、諸々上の人に対してもかなり堂々と「了解しました!」と力強く返信してきた私は、自分の無知さを恥じ、静かに「了解しました」を封印した。そこにするりと「承知しました」がはめ込まれ、その瞬間から私は「承知しました」返信へと切り替えた。

それからしばらく経ったある日、夫が古くからの友人で仕事仲間でもある年下の男性から「最近、あいつ“承知しました”って返事をしてくるんだけど、変だよね?」と私に話してきた。

まさにーーーーー!これ、私が感じたことを、この男性も同じように感じてシフトチェンジしてきたんだろうと、すぐに思った。なぜこうなったのか明確に理由が分かった私は、「了解しました」から「承知しました」女にシフトチェンジした理由を意気揚々と話した。

もしふだん「了解しました」と返していた人が、「承知しました」に突然変わったとしたら、裏にはそんな発見や気づきがあったかもと察してあげてほしい。なんとも奥ゆかしく、流れを優しく受け入れる私たちよ。自由だ、ジェンダーレスだ、女性優位だと、あれこれ叫んでいる私たちも、そういうささやかなことに気を使いながら「この方が相手に嫌な思いをさせないだろう」と選択して生きている姿が、とても人間らしくていいなと思った。「承知しました」旋風は、どこまで広がるのか。今のところ、私のまわりには1人だけ増えた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?