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隠された富士

富士山は日本を代表する山、それは事実である。
だが、古代においても、現代と同じ認識であったかは甚だ不明である。

日本最古の歌集である万葉集に富士山を詠んだとされる歌が11種あるとされる。
代表は山部赤人の詠んだ歌。

田児の浦ゆうち出でて見れば真白にぞ不尽の高嶺に雪は降りける

さて、これは静岡県静岡市の薩埵峠で詠んだとされる。
歌は、その景観をみた時の感動から生まれる訳だが、
薩埵峠からみる富士山は果たして、ストレートにその感動を人に与えるだろうか?

田児の浦

同じ地名は、富山県氷見市にある。
立山を望む絶景スポット、雨晴海岸に近い。
ここから見る立山は、世界的にみても稀有な素晴らしい景観である。
雨晴は「あまはらし」と呼ぶ。
つまり天の原。

万葉集に歌われる歌の数々は、この氷見で詠まれたと推測するのだ。

とすれば、不尽の高嶺は、立山連峰。
不尽ふじー巫児とも変換可能である。

巫児とは、巫女、家督を継ぐ長女、末娘の事。
この結婚しない女性らは、おんば様に通じている気がする。
立山は女性が実権をもつ山であったのだろう。
だが、大化改新により、倭の実権は、大和に移った。

祭祀を担う女性の国倭と、経済政治を担う男性の国大和。

万葉集は、その事実を赤裸々に綴っていたが故に、
隠された。
世に出す為には、多くの改ざんが必要になった。
それでも、真実は歌そのものの心に宿る。

人の胸を打つ歌、それは、頭で理解するのではない。ただ、感じれば、歌の舞台も見えてくるはずである。

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