ワニから読み解く歴史
稲羽の素兎に登場するワニ。
日本にワニはいないから、
ワニではなくサメだと言う人がいる。
いや、ワニはいる。丸邇、和邇氏である。
ワニをトーテムとした民族だった。
古事記で海の和邇と表現される点に注目である。
物語ではウサギはワニを騙して稲羽にやってくる。
嘘を言って連れてきてもらった。
新潟県阿賀地方では、ワニは延縄の魚を食いにやってくるが、スバル星について回るといったそうだ。
スバルの季節は冬。
冬に魚を追ってやってくる海人がいたのだ。
冬に日本海にやってくる回遊魚、延縄漁を行う魚は
助宗タラ
助宗タラは北太平洋に広く分布。
鮮度が落ち易いため、乾物にされる。棒鱈である。
助宗タラは朝鮮語でミョンテ、ロシア語でミンターイといわれ、明太子の語源となっている。
冬に季節風を利用してロシア、朝鮮の方から海人がやってきた。それが和邇(ワニ)
一方で、もう一つの丸邇(ワニ)がいる。
漢字の違いは重要。
中国ではワニと言えば入江鰐。熱帯に生息する獰猛なワニである。クロコダイル科。
恐らく丸邇氏は南方系の海人であろう。
だが、長江下流域に生息するワニがいる。揚子江ワニ。アリゲーター科。もっとも寒い地方に住むワニと言われる。大人しく子煩悩なワニで冬眠する。
漢字が出てこないが、ダ、タンと読まれる。
北方系海人が和邇氏。
和邇氏の起源としてもこの事は重要である。
長江に起源があるとみていい。
殷の玄鳥神話は、殷の成立に渡り鳥が関わる事を示す。殷の場所は黄河から長江北方辺り。
和邇は東シナ海の海人であった。黄海一帯も支配下であったはず。一部沖縄、九州も入っていただろう。
(台湾、沖縄辺りは南シナ海、太平洋海域など複数合流)
ここで、朝鮮の建国神話に目を向ける。
檀君神話である。
熊と虎とが洞窟にいて、熊が女になり、交わり、檀君が生まれる。
虎はアムール虎を象徴とする北方勢力。
熊は能(ヤドカリ様の水虫)と火から構成され、水を求めて移動する遊牧民の華北、東北の勢力。
朝鮮半島に和邇と遊牧民族による国家が形成された。
これは、海と陸路が結ばれた事を意味する。
長江は、北緯30度付近。つまり気候の切り替わり地点。風の向きが変われば、移動する向きが変わる。北と南のどちらの勢力とも合流する。8の字循環が東シナ海にあった。
そして、もう一つ8の字循環が形成されるのが、日本海。対馬海流とリマン海流、冬の北西風と春の北東風。
石器時代に隠岐島の黒曜石がウラジオストクにまで運ばれている事が分かっている。紀元前20000年には日本全国で黒曜石が流通していた。
これは交易範囲がかなり広い事を意味している。
朝鮮半島東部の新羅の建国神話に目を向ける。
建国の重要人物は倭人の瓢公。腰に瓢箪を下げ海を渡ってきたらしい。新羅王朝の朴、金、昔氏全ての即位に関わっている。
瓢箪である。瓢箪は中身を出して干した筒で、水筒ほか、匙や皿などにも用いられる。腰部が大きい事から蠃(ジガバチ)にも例えられる。
蠃はヤドカリの象形。蜂とヤドカリに何の接点があるかといえば、蜾(ら)にある。殻を離れた裸の貝に形が似ているらしい。
さて、ジガバチについて説明したい。
狩バチであり、毒バチである。群れは作らない。
アオムシなどに神経毒を指し動けない様にして卵を生みつけ、幼虫のエサにする。
親は卵を生んだら去る。
この習性である。
殻を脱いだヤドカリは、航海をやめた女性。
腰部が大きいのは妊婦。つまり子を孕む。
だが、自分で育てない。寄生させ成長させる。
ジガバチの語源は、巣穴を作って埋める際の音に由来し、(似我似我)我に似よ我に似よと言っているように聞こえるかららしい。埋めた虫が後日蜂になって出てきたようにみえたかららしい。
代理母とも言える。代わりに産んであげる。
生産の担い手を沢山産んでいた女性達がいた。
安産体型、多産。
これ、土偶にも通じていないだろうか。
話を新羅に戻す。水をたたえた日本海ー瓢箪。
瓢箪の腰ー日本海西日本側から、新羅を作る理由があった。
日本海8の字循環が困難な理由が生じた。世界情勢に関わると思う。
故に環西日本海が誕生する。東日本海は北方と環を形成する。
腰は越でもある。能登半島を境に西と東は分断する。
何万年も前から海を通じて人々は交流していた。
そして自然をよく観察し、色々な事象を結びつけて考えていた。
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