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この手広げて


 ロードムービーを一つ紹介したい。「東京タクシー」というTHE BACK HORNのVo.山田将司が出演するB級映画みたいな作品。

 単純にバックホーン繋がりで知ったのだが、観終わった後に妙な安堵感が広がる不思議な作品である。

東京タクシー

 山田将司演じる山崎亮は売れないロックバンドのボーカル。彼は韓国🇰🇷で行われるロックフェスに出演予定だったが、飛行機恐怖症を理由にフェスへの参加を渋り、メンバーと揉めていた。そこで亮はなんと韓国までタクシーで向かうことを決心するが、殆どのタクシー運転手に断られてしまう。
 ただ一人、山田一志という風変わりな運転手だけはこれを了承し、亮を韓国まで送ってくれることになった。

 んなことある訳ねぇだろのシュールな展開だが、二人の道中と韓国に着いてからの出来事の数々がこの作品のメインストーリーとなる。

 大きな感動を呼ぶ訳でも、そこまで心温まるストーリーって訳でもない。
 ただ、亮が運転手の山田さんに徐々に心開いて、踏み出せなかった人生の一歩を踏み出して生きようとする心境の変化がとても良かった。

 一生のうち、数日間しか共に過ごせない人って実は結構いるんじゃないだろうか。案外そういう人達には心開けるもので、自分でも不思議なぐらい素直になれたりするものだ。
 きっと亮も韓国タクシー旅行を共に過ごした山田さんと心の底から通じ合う事ができ、前へ進めたんだと思う。最終的には飛行機に乗って日本に帰れたことだし。

主演:山田将司(いやビジュ強過ぎ)


主題歌「山田将司/この手広げて」

 正直言うと、この曲の音源欲しさにDVDを購入したようなもの。ほんっっっと良い曲。
 ついでに劇中では山田将司による「幾千光年の孤独」弾き叫びシーンまで観れる。韓国のタクシー会社の人間達に囲まれながら車庫の中で歌ってるのだが、200%選曲ミスったろって感じでとてもスカッとした。

幾千光年の憂鬱が韓国に降り注ぐ



 そして作中でも度々流れる「この手広げて」。作詞作曲ともに山田将司が手掛けており、”生きる“にフォーカスした優しさ溢れる実直で彼らしい曲だ。

新聞に書かれた
社会への報復 奴は教祖になった
街中の人々が 飛びたがっている
夜空に降り注ぐ流星が
ロケットに見えていたよ 明日には
世界は終わってくんじゃないかって
さよなら 離れたあなたの鼓動
焼きついたまま 今日もあなたの為に歌うよ

山田将司/この手広げて


 広いようで狭い都会じゃ目一杯両手を広げられない。それでも生きてる今日に自由を求め、誰かの為、自分の為に歌う。
 生きづらさを感じたり、居場所が分からなくなってもこの曲を聴けば少しだけ心が軽くなる。行きたい場所に行けばいいし、やりたいことをやればいい。

 数年前、出勤途中でこの曲聴いてたら漠然と帰りたくなってしまい、自由を履き違えた結果、出勤して即休みを貰って午前中で帰ったこともあった(忙しくなかったとはいえ、こんな大人になってはいけないよ)。

 タクシーで韓国まで行こうとは思わないけど、束の間でいいから、息苦しさを忘れる為にも行ったことのない街へ旅したい。
 人生が変わるきっかけは思いがけずそういう場所に転がっていたりするかもしれない。

 それでは良き夢を。おやすみなさい。

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