小説を書こう。
ずっと、無理をしていたんだと思う。また知らず知らずのうちに頑張ってしまっていたんだと思う。頑張ることはいいことだけど、無理に頑張るのはよくない。そして、それに気づかずにいることは、もっとよくない。
会社に期待された。上司に頼られている。花形と言われる部署に就いた。色々とちやほやとされて、頑張らなくちゃと思ってがむしゃらになって、無理して、自分を失う。その先にあるのは、知らぬ間に積み上がる疲労感と虚無感。
平日も休日も、会社にいるときも子供たちといるときも、いつの日からか頭にあるのは、また仕事のことばかり。そんなふうになりたくなくて、ずっとこんなふうになるものかと父の背中を見ながら育ってきたのに、またそんなふうになっていた。
3歩進んで2歩下がる。
急がば回れ。
また、大事なことを忘れていた。
また、妻が思い出させてくれた。
小説を書かなくなっていた。小説を読まなくなっていた。気づけば難しいビジネス書を読み、眉間に皺を寄せながら電車に揺られて通勤していた。休みの日はセミナーに行き、聞いたこともないような横文字や略語を覚えた。なんのためになるのか、ため息が漏れる。
危ないところだった。
また壊れかけていた。
ヒビが入りかけていた。
いつも自分じゃ気づけない。情けない。でも、だからこそ、妻の存在に感謝する。本当に大切なひと。
そして小説を書こう、と思った。
やりたいことをやろう。
無理はしない。
ひとの目なんて気にしない。
ときには人のせいにしたっていい。
書こう、小説を。
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