人生のバイブル|チョン・スンファン著 『私が望むことを私もわからないとき』
手に取ったきっかけ
この本に巡り会ったのは、ちょうど2年くらい前の社会人3年目の時。仕事にも慣れ、できること・任せられることが増えたものの超過労働でバーンアウト気味だったり、周りがどんどんと“自分のスタイル”を見つけて生活を築いている姿を見て、本当にこのままぬるっと歳を重ねてしまって良いのかと焦燥感を感じたりと、タイトル通り自分自身でも自分が何をしたいのか、どういう人生を歩んでいきたいのか、わからない状態だった。
それ以来、人生の道筋に悩んだ時やモヤモヤして気が晴れない時に読み返す、私に取っての“人生のバイブル”のような存在である。
心に寄り添う、人生を語る文章
この本の好きなところは、夢や人間関係などの人生に立ちはだかる悩みに対して、書籍紹介サイトを運営する著者がこれまでに彼が出会ってきた心に響く厳選された言葉を、彼自身の人生のエピソードと紐付けながらメッセージとして発信し、癒しや勇気を与えてくれるところだ。
自分の心の声を認めるのが怖くて見て見ぬ振りをしていた感情を手にとるように描写し、同じ想いをしているのは自分だけじゃないと感じさせてくれるような、著者が紡ぎ出す文章や彼が各章の中で取り上げる詩や言葉が心を暖かくし、また次の日から頑張ろうという気持ちにさせてくれる。
珠玉の言葉ばかりなので”一番”の文章は選びきれないが、数々の文章なかでも読むたびに心に刺ささり思考に大きなインパクトを与えたのがこの一節。
小さい時から劣等感が強く、他人の物差しで測った”価値のあること”を手に入れようとしてみたり、自分に明確な夢がないことに焦燥感を感じて他人の言葉をあたかも自分の思考のように語ってみたりすることに慣れてしまっていた自分にとって、ガツンと殴られたような気分になった。
この本に出会ったあと、この一節が潜在的に自分の中で響いてたからこそ会社を辞め海外の大学院留学に挑戦するという夢にチャレンジする決心がついたのだと思う。
成長度合いやその時の心のバランスによっても刺さる言葉が違ったり、文章の解釈の仕方が変わったりと何度も読み返しているからこその気づきもある。これから10年、20年先に読み返したときにどのような言葉が自分の心に刺さるのか、楽しみにしながらこの本と人生を歩んでいきたい。