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身の丈資本主義の世界でアメーバ的な関係を紡ぐ地域、三豊。

地域でつくって暮らす人がどんどん生まれている地を巡っていた私が、今までで1番、ここでの生活を羨ましいと思い、また帰ってきたいと思い、惚れた場所。香川県三豊市。
中高生の学びの再定義をしようと探究にアツい(マジでアツい)、すずかんゼミの先輩・田島颯さんが三豊に移住して事業を始めていたことがきっかけで、ゼミの特別研究プロジェクトが三豊で開催された。あまりにも想像を超えてきた三豊の魅力に浸った5日間はどうしても言葉で残しておきたくなってnoteを開いた。まずは三豊で出会った方々のこと。


#01.はらかなさん(瀬戸内ワークス株式会社) 

三豊に着いて1番最初に訪れたのは、UDONHOUSE。うどんを打たなきゃ泊まれない宿。ここをつくったのが同じ慶應SFC卒の原田佳南子さん。はらかなさんは三豊でどんどん事業を生み出している超コンテンツプレイヤーだが、ゲストハウスをやっている人で終わらないのがミソ。地域に移住したりその地で挑戦したりする人が増えるための土壌づくり・導線設計に対するまっすぐな向き合い方に脱帽。「暮らし・仕事・コミュニティ」をキーワードに仕事を紹介しながら地域へ入りはじめる階段も伴走してくれるはらかなさんは間違いなく三豊のプレイヤーの卵をうみだす母のような存在だった。

#02.古田秘馬さん(@URASHIMA VILLAGE)

実は以前SNSで流れてきた時からずっと気になっていたURASHIMA VILLAGE。穏やかな瀬戸内海の波の音を聞きながら、オーシャンビューで仕事も遊びもサウナもできちゃう宿。浦島太郎伝説といえば思い浮かべる亀をモチーフにして内装は全て六角形にこだわっていたり、クリエイティブも超カッコイイ。古田秘馬さんとの出会いは、私の中では結構パンチのあるものだった。コンセプトから「まちの風景」と「まちの人の新しい生活を創る」、プロジェクトデザイナーという仕事。単純に心からめちゃくちゃかっこいいと思えた。「カエリタイ」を立ち上げてとても感じているけど、対象になるn数が少ないと、その分深くまで刺さるものを届けられる。秘馬さんも地域でプロジェクトをやるときになんでもかんでも市民全員が受けるサービスにしないことを意識しているらしい。「これ私のための仕掛けだ」って思ってもらえると手触り感も一気に上がる。例えば、このエリアのこの時間のバスは利用者これくらいっていう地域リソースをバス会社だけが把握しておくのではなくて、地域全体で把握できる仕組みにすれば、新しいバスの使い方を提案できるので新しい経済循環を生み出せる。秘馬さんの話は、私の地域デザインの解像度をグッと上げてくれた。

#03.今川宗一郎さん/藤岡優さん(@仁尾町,父母ヶ浜)

父母ヶ浜のある三豊市仁尾町で生まれ育った2人と颯さんのやり取りは三豊のコムドットみたいで、やり取り見てるだけで笑えてくるし自然と元気が出た。高校時代ヤンキーだったからか、「舐められないまちにするにはどうしたらええんじゃ!」ということを考え続けているらしい(笑)。父母ヶ浜にある宗一郎珈琲は存在感抜群。ただのコーヒースタンドかと思いきや、浜で映え写真を撮るだけでは終わらせない仕掛けがされていた((ぜひ行って確かめて!!))。数年前まで年間5000人しか観光客が来なかった町がブレイクして一気に年間50万人の観光客が来るようになった父母ヶ浜。近いうちに100万人が訪れる町になる未来もありうる中で、「50万人が1回来て終わるよりも5万人に10回が来たくなる土地にしたい。」その言葉に生粋の地元民2人の信念が詰まっている気がした。

#04.へいたくさん/関さん(株式会社しわく堂)

3日目に出会った株式会社しわく堂の平宅正人さんと関大樹さん。地域課題を「北風と太陽」でいう太陽的アプローチでの解決にこだわっているところが面白い。しわく堂は、三豊出身の同級生3人組の会社で、「三豊に、これあったらいいな」を考えてカタチにし続けている。平宅さんは、子育てを地域ぐるみで行えるようなおむすび座というカフェをつくり、小さな福祉をデザインしている。関さんなんて、ビリヤード愛語り出したら止まらないし、ビリヤードで三豊の中学生世界進出できるんやで!?って目キラキラさせてほんとに楽しそうに話してた。確かに、ざっくり見れば人口が減っている事実はあるけど、あんまり深刻な課題と捉えていないところに同じバイブスを感じた。若年層の割合や移住者の数値の動きにちゃんと目を向けて、じゃあ三豊の未来にこれがあったらもっと暮らしやすくなるよね豊かになるよねと考え形にする姿勢と圧倒的な質のクリエイティブにまたひとつやられてしまった…

#05.浪越弘行さん(@cafe de flotsとkubelと塩職人)

5日間で1番濃〜〜〜〜い時間と関係性とあったかさをくれた浪越さん。浪越さんの紡ぐ言葉は本当に素敵で、目の前の1人に丁寧に向き合う姿勢を思い出させてくれた。「ゴリゴリいろんな事業をやっている人がいる中で、三豊ではいくつもの大きな歯車が動いている。だから僕はあえて地域の小さな歯車でありたい。小さいけど硬くて壊れにくい歯車。」これが、2005年から1番最初にこの地で場をつくり始めた浪越さんの決意と信念。ほっぺが落ちるような美味しすぎる料理にもその想いは込められていた。朝3:00くらいまで海の風にあたりながら語った夜が明け、次の日に浪越さんから届いたメッセージ。

出会ってまだ2日だと言うのに
みんなのことは
弟や妹のような、
兄や姉のような、
息子や娘のような、
弱くもあるけど、とても頼もしく感じる、
不思議な感情が生まれています。
これからの成長を見ていきたいし、
共に成長もしながら
笑い、泣き、はしゃぐイメージが、
愛おしく思い浮かびます😁そんそんな影響を与えてくれたみんなに
とても感謝しています。

出会って2日にしてこんなふうに言ってくれる人がいる三豊。一瞬で帰りたくなる場所になった。


他にも、酒蔵をリノベして自分が醸される米になりきって泊まれる宿泊施設・三豊鶴を訪れた。ここを創設したメンバーもこれまた面白くてちょっと長くなりすぎそうなので、第二弾で分けて書こうかな😂


▶︎アメーバのような関係性

こんなにたくさんのプレイヤーたちがいる三豊。拡大成長主義で最速スピードでπを増やすことが全てじゃなくて、今ある範囲のものをじわじわ増やしながら、大切にしたい範囲で深みを出していく身の丈資本主義の世界。だからこそ生まれるシステムが面白い。ひとつの大きなプロジェクトに複数の地域事業者が出資をして、みんなでつくる。それぞれの企業に業務委託として仕事を渡すことで、株配当より早く回収できる仕組みもなるほど….😳と。

例えばURASHIMA VILLAGEの仕組み

それぞれの事業者はそれぞれに信念と核があって自立しているのだけど、三豊で何か立ち上がる時にはそこに賛同する人たちがぎゅっと集まって一緒にプロジェクトをする。終わったらまた少し距離感を緩めてそれぞれのところで頑張り、また何か起こりそうな予感がすればぎゅっとなる。全体で見ると三豊というひとつの生命体だけど、縮まったり広がったり、まるでアメーバのような関係性が見えた気がした。

本気で遊び、本気で仕事し、本気で挑戦する大人がいるまちは、生きるエネルギーで満ち溢れているし、私もこういう大人になりたいと心から思った。

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