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一知半解な外来語、サブレを題材として。

一知半解、サブレと言う外来語の今後の意味の変化

お菓子「サブレ」は、フランス語のサブル sable (砂) の変化形でsablé 。この語はフランス語の動詞sabler の過去分詞から作られた形容詞として、「砂を撒いた様な」 と言うニュアンスになる様です。舌の上でサラサラした食感がするのでしょう。 クッキーよりもバターの量が多く、軽い食感になるのだ、と言う説明がありました。 17世紀にフランスで造られ、日本へは明治期に入った様です。
食感としての舌の上でのサラサラ感は、フランスも日本も同じ様です。 フランスでは、もともとのレシピに忠実であり、あまり大きな変化は見られない様ですが、日本では、ご当地サブレなど、 地方・地域ごとに、形や食材の違いに拘った創作的なものが多様に発展し、多くの種類が見られる、と言えると思います。 その意味では、フランスのサブレの方が、伝統的な味に近いのでしょう。 日本では、オリジナルの味から離れたバリエーションが多い、と言う印象がありますが、別にそれ自体を批判しているわけではありません。 こう言う状態を、敢えて言えば、フランス語で「tatamisation(畳化)」と言い得るのでしょう。ただし、この語は、一部のフランス人しか使わない様です。少し、ユーモアと皮肉の混じった言葉だと思います。
因みに、サブレのドイツ語はMürbeteigplätzchen (ミュルベタイクプラッツヒェン) で、完全にドイツ語として作り直していますが、「mürbe」は、「柔らかい」と言う意味であると考えると、舌の上でのサラサラ感は、再現し切れていない、と思います。外来語を完全に自国語化しようとすると、その語から受ける印象が変わる、と言う場合もあるのでしょう。
この様に、外来語が日本語の中で、更に日本的変化し、少し違う意味合いを合わせ持つ、と言う状況をAIはどの様に対応するのでしょうか? 外来語には、その語の変化に該当する日本語がその都度、必要か。 言葉の変化を日本語で微妙に呼び分けないと、 元来の日本語に徐々にほころびが生じ、日本人は純粋な日本語でものを考えられなくなる、のだろうかとも思ったりします。
ただでさえ、漢字、ひらがな、カタカナ、そして特に最近はアルファベット略号が多く混じっている日本語の昨今の情勢を見ると、外来語の安易な取り入れは、 日本語を乱す様な気がします。 しかし、グローバル時代には、新しい概念の素早い取り入れも必要だとは思いますが。人間が外来語の歪みに気が付き、警鐘を鳴らすのか、AIが人間に警告するのか、どう言う基準で誰が警告するのか、混沌とした状況の変化を感じます。


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