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【アップデート版】 『クラウド誕生 セールスフォース・ドットコム物語』を読んで Behind The Cloud Mark Benioff

ビジネスパートナーの経営者の方から推薦されて、お得なタイミングで中古本で13000円程で購入。市場に在庫が少ないときは3万円ほどになっていた時もあるとのことです。
作者はIT業界、特に法人営業やってる人なら知らない人はいない、マーク・ベニオフさん!

テーマはクラウド誕生。

私自身もIT系法人営業を20年以上従事しているので、だんだんとセールスフォースからはじまった"クラウド"というサービスモデルが、業界に拡がっていくのを見に染みて感じてきた一人。

様々なビジネスのヒントが詰まった、貴重な一冊であることは間違いなさそうなので、じっくりとアップデートしていきながら、レビューを書き綴っていきます。(2020.10.4)


現状を打ち破り、変化を起こしたいと思っている全てのリーダーへ  マイケル・デル


マイケル・デルさんも超有名ですが、ここでは8年前にマーク・ベニオフさんを励ましたというエピソードに始まり、締めでもそのメッセージが読者にも出されています。

今はあなたの時代だ。あなたならできる。

人間が生み出したテクノロジーの結晶となる無機物のコンピュータ。ムーアの法則の通り、指数関数的に進化し続けている。
ハードのデル、ソフトがセールスフォースという、世界で最も成長した(成功した)人たちの言葉なので、説得力がある。

方向性を間違わなければ、はっきりとしたビジョンと自信を持った行動がはじまりであり、全てだということだ。

旧来の慣行を破壊し改善することがデル設立の原動力であった。
顧客の意見に耳を傾け、最高の体験をもたらすことが、自社の成功につながる。

"カスタマージャーニー"とか"ユーザーエクスペリエンス"など、元々はコンシューマ向けのマーケティング用語だったのかも知れないが、B2Bの法人営業でも最近多く聴かれるようになってきている。

その原点となる発想は、マイケル・デルのPCのダイレクトセールスモデルに現れているということ。

DELLのダイレクト販売は、過去に私も何度か利用した。
当時はPCメーカーの商品を販売店で購入するのが一般的だったところ、それらを全くなかったかのように直販WEBサイト(少しカタコトな日本語の)で申し込み、それから工場生産します・・という流れが斬新だった。

何よりハイスペックなPCが驚きの10万円前後で購入できるという、いいこと尽くめの体験だったことが鮮明に記憶に残っている。

その後、ビジネスの取引でもDELLの凄いところを経験。

当時、外資企業向けの営業であった私は、デル日本も担当することになり、神奈川にあるデル株式会社によく訪問していた。

法人営業は一般的に見積りを提示したり、発注書などの契約書を紙ベースでやりとりすることがメインなのですが、DELLは異なっていて、調達など全てデジタル化、グローバルで統一していました。

RFP(入札)の際は、ウェブサイトによるインターネット・オークション形式の入札を初めて経験。
当時の日本ではほとんど見かけないAribaの購買・調達サイトでの入札。

自社の見積り金額を、WEBサイトに数字で登録すると、何と競合他社にも開示されるという・・・ありえない仕組み!(恐るべしwDELL!)

さらに、チャットで「君たちなら、もっと安価に提示できる!もっと頑張れ!」的な英語で煽られます・・・。

これは実話ですが、あまりにびっくりしてドタバタしてしまい、見積り金額を一桁安くして入れてしまいました(汗)

どうやって修正するか分からずに青ざめていたら、競合他社のSさんが、もっと安い金額で落札。
結果、失注しましたが、本当に一安心したという・・・忘れられない経験でした。変な汗が出た記憶があります(笑)

DELLの印象は、ビジョンがしっかりしていて、ITインフラをフル活用しているIT大工場でした。

一方、当時のセールスフォースは、日本にも事務所があり営業担当しておりましたが、中小ベンチャーのイメージ。

ちょうどASPという言葉から、アプリケーションがインターネット経由で使えるSaaSのスタートとなるタイミングだったのでしょう。
日本ではガラケー・弊社のiモードの全盛期でもありました。ドコモの全盛期ですね(コンシューマー事業ですが)

ガラケーが高度化し、容量の小さいアプリがインストールできるようになってきた時代です。今で言うスマートフォンですが、各キャリアがそれぞれ独自の方式で端末を開発していたこともあり、ドコモはiアプリというJavaのVM上で動く100Kバイトのアプリが動く程度でした。

セールスフォースのクライアント対応していたアプリはBREW(auのガラケーのアプリ)だけだったことを記憶しています。

ドコモはモバイル・ゲートウェイ経由でセールスフォースを利用できるサービスをパートナー協業で開発していましたが、機能も限定され使いにくかったこともあり、実験レベルでお客様もほとんどついていませんでした。

現状を打ち破り、変化を起こしたいと思っている、全てのリーダーが学べる内容である。特に、未来に向けて舵をにぎる意欲的な起業家やCEOにとって、本書は素晴らしいガイドブックになるだろう。


マイケル・デルさんの言葉。
自身のビジネス人生と重ねるとスケールの違いと目線のつけどころの違いに驚愕です。

私も国内で法人向けに先端ソリューション営業に勤しみ、2006年には国内初の法人システム・スマートフォン導入プロジェクトに携わり、テレビ東京の「ガイアの夜明け」に出演したりして調子に乗っておりました。
33歳くらいでしょうかw

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