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一箱古書店「かくえき亭」ラインナップ
この記事では、岡山は表町商店街で2024年9月1日まで行われている企画「みんなの表町書店」に参加中の当「かくえき亭」のラインナップを紹介しています(ちょこちょこ更新しているのでまだ書いているところもあります)。
#みんなの表町書店
— ごまヲ (@yukigomao) August 17, 2024
棚がふたたび移住したようです。
スタッフのみなさん重たいものなのにお手数おかけしております…ありがとうございます。
みなさんの本棚にも動きがあるかも。新しい本が入っていたり?場所が変わると見付かるものも変わりますよ。一度と言わず、二度目三度目もどうぞ。 https://t.co/lsIOX2yQ97
紹介と銘打ちましたが、箱の店主であるわたしが、並べた本について読書記録を残しておくか…と短い感想を書き連ねたものになります(過去の記事から引っ張ってきた文章も入るかも)。宜しければご覧ください。
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■ZINE「わたしの移住歳時記」
まずは、手前味噌ですが。先月の「文学フリマ香川」でも販売したZINEです。
生まれ育ち、長年暮らした東日本から香川県へ移住して感じた日々の気付きを、季語をキーワードにつづったショートエッセイ集。俳句も少し載っています。どこからでもお好きなところから読めます!関連するフリーペーパーも置いているので、そちらはご自由にお持ちください。
ちなみに通販もやっています。
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■オカヤイツミ『雨がしないこと』上下(エンターブレイン)
漫画。敬愛する歌人の川野芽生さんが、ご自身をアロマンティック、アセクシュアルに当たる、とおっしゃっていて、その繋がりもあって関心を持ち手に取った作品。主人公の雨も、おそらくアロマンティック、アセクシュアルに当たるのではないか。しかし作品はそれについて詳しく説明するでもなく、それでいて世の中の「ふつう」を受け流すでもなく、ありのままで生きてゆこうとする雨の日常を静かに描く。上下でお求めください。
■よしながふみ『愛すべき娘たち』(白泉社)
もう何年も前、結婚する前の夫が貸してくれたこともあるのだが、イラッとして突き返してしまった漫画。これはまた読みたくなって取り寄せたもの。そしてこの漫画について夫と話そうとして、またイラッときて喧嘩になってしまった忌まわしい(笑)因縁の本なので、どなたかに読んでいただき、その因縁を断ち切ってほしいと思っています。冗談はさておき、女性が生きるということについて、深いところをえぐってくる作品です。喧嘩の話しも下記のブログに書いています。
牧村「ハッハッハ/コドモだね如月は!/だから闘っても/大丈夫そーな男を/見分ける目を/養えってことよ!」
■ロアルド・ダール『マチルダは小さな大天才』(評論社)
児童書。子供の頃何度も読み返した本です。小さくて無力な子供が、知恵や特殊能力を使ってイヤな大人に復讐する、というストーリーが痛快で、読み返してはストレス発散していたのだと思います(笑)ダールの作品は五味太郎さんにも通じるところがあるかもしれません。大人でもどうぞ。
■安田登『イナンナの冥界下り』(ミシマ社)
ミシマ社さんが好きで、特にこの本も入っている「コーヒーと一冊」というシリーズが好きで、色々取り寄せてみています。安田登先生は、能楽師であり、作家であり、講演やワークショップなどで世界中を駆け回っているマルチな方。密かに「レオナルド・ダビンチみたいな方」と思っているのですが、どうでしょうか。この本は、能にもなったシュメール神話の女神イナンナを主人公とした「イナンナの冥界下り」を安田先生と一緒に読み解く一冊です。「過去」も「未来」もなく「今」だけがあった時代、とは。
■橋爪真吾『性風俗サバイバル』(ちくま新書)
数年前になりますか、ラジオ番組でとある芸人さんが「コロナの後、風俗にきれいな女性が流れてくる」といった発言をしたとのことで、批判が集まりました。わたしも家族の影響でお笑いを趣味のひとつにするようになり、ラジオやPodcastもよく聴くので、決して無関心ではいられないニュースでした。そしてお笑い芸人さんを追っていると、例えその人が男性でも女性でも、過去に、もしくは現在進行形で風俗店を利用した、あるいは利用している、という話題を、笑いの一つとして提供されることがあります。お笑いの消費者として、普段「ものわかりの良い」態度を見せてしまうお笑いファンとして、知っておかねばと思い手に取りました。
■田中優子『遊郭と日本人』(講談社現代新書)
『性風俗サバイバル』と関心の方向性は同じかもしれません。わたしは俳句が趣味ですが、歳時記に出てくるような「日本文化」にも、こうした色街によって引き継がれてきたものがあるのではないかと思います。普段創作をしたり、句会をしたりする中では、そういう話をすることはほとんどないのだけれど、知っておいたほうがいいと思いました。
■雨宮まみ『40歳がくる!』(大和書房)
とてつもないパワーを感じる本。もっとはやく雨宮さんの文章に出会いたかった。そして、もっと彼女の文章を読んでいたかった。歌人の穂村弘さんが触れていて『東京を生きる』も取り寄せたので、チビチビ読んでいきたい。
「どうせ、大きく道を踏み外すなんて、自分はできない。もともと真面目で小心者なんだし。だったら、その自分がしたいことぐらい、やったっていいじゃないか。そのくらいで踏み外すような人生なら、もともとそういう器だってことで、踏み外す時期が多少早いか遅いかの違いしかないはずだ。破綻するなら早いほうがいい。立ち直りも若いほうが早いんだから。」
■太田明日香『愛と家事』(創元社)
ライターの太田さんのエッセイ集。「怒りとのつきあい方」という章を読んで「自分のことが書いてある」、というよりむしろ「なぜこれを書いたのがわたしじゃないんだろう」とすら思い、震えた。読んでください。
■荒木菜穂『分断されないフェミニズム』(青弓社)
出産後、時々こういう本も読むようになりました。「ええっ、思想的なそういう…?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、人生の節目を迎えた、あるいは過去や未来について考えている女性が辿るコースとしては、そんなに珍しいものではないと思います。偉そうですが。筆者は研究者ではあるものの、比較的平易な文章で、特にSNSなどで見られがちな、フェミニズムにまつわる分断について論じています。
■梨木香歩『ほんとうのリーダーのみつけかた』(岩波書店)
この人についていこう、そう思ってたどり着いたところが、どうしても信じられなくなったことがあります。そんな思い出が手に取らせた本。梨木さん版の『君たちはどう生きるか』なんじゃないか、と思いながら読みました。
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■ジャック・ラカリエール『古代ギリシャの言葉』(紀伊国屋書店)
手にしたときから古本だったのですが、ぱらりとめくったページに「オリーブ」という言葉が見え、その瞬間、古代ギリシャと瀬戸内海が繋がったような気がして、読みました。写真も美しいです。ちなみに、テイクフリーコーナーに「オリーブひゃっけい(百景)」というフリーペーパーも一緒に置いているので、宜しければあわせてどうぞ。
■斉藤倫『ポエトリー・ドッグス』(講談社)
ふらりと迷いこんだバーのマスターは、犬。しかも、その時その時に合った詩を出してくれる。カクテルを味わうように、一章を一晩として、古今東西の詩に酔いしれることのできるエッセイ集。わたしは3,5,6,7,9夜が好きです。中江俊夫さんの「みんな」という詩は、今でも理解できたようには思えないけれど、何度も読みたくなるものです。
■谷川俊太郎『詩ってなんだろう』(筑摩書房)
外函つき。島田陽子さんの大阪弁の詩と、永瀬清子さんの「詩を書く理由」がよかった。二人の詩をもっと読んでみたくなった。
■堀本裕樹『海辺の俳人』(幻冬舎)
俳人の堀本裕樹さんが、海辺の近くの一軒家を借りて暮らしていた頃の生活をつづったエッセイ集。古典から堀本さんの作品まで、様々な俳句が海と、その四季にまつわるエピソードともに読める魅力的な一冊。途中でパートナーやお子さんもメンバーに加わり、次第に賑やかに。しかしどの場面にも必ず海がある。ちょっと心が乾いた時に開きたい本です。個人的には、秩父出身の俳人・金子兜太さんの「蛾のまなこ赤光なれば海を恋う」という句から、わたしもそうであるように、山国出身者が海をテーマにしたらどうなるか、ということについて考えたりしました。
■三浦豊『木のみかた』(ミシマ社)
こちらも、上で紹介した安田登さんの本と同じミシマ社、コーヒーと一冊に入っているもの。木の案内人の三浦さんが、町の中でよく見かける木について、種類別にやさしく解説しています。いちばん昼寝しやすい木って、なんの木だと思いますか?
■花福ござる『公園植物ワンダーランド』(イースト・プレス)
コミックエッセイ。新宿御苑など東京近郊で訪れることのできる規模の大きな公園への訪問記。全編カラーなので、草花の様子が色鮮やかに分かるのもいい。購入したのは既に香川に引っ越してきた後だったのですが「どうしてもっとこういうところに行っておかなかったんだ!」と後悔しながら読みました。みなさん、気になる場所にはさっさと行きましょうね。吟行の場所を探している方にもオススメです。
■島田瑠里『歌う鳥、さえずるピアノ』(草思社)
なんと(?)CDつき。筆者はエリック・サティの研究者にしてピアニスト。様々な鳥についての短いエッセイ集。鳥の囀りを楽譜に書き起こしたものが見られます。わたしはこの本がきっかけでナイチンゲールの声をYouTubeで初めて聴きました。翻訳の海外の児童書を読んでいると、ナイチンゲールが鳴いて…みたいな記述が出てきたような。日本にナイチンゲールっていないですよね?いつか本物を聴いてみたい。
■ネルノダイスキ『ひょんなこと』(アタシ社)
漫画。一年くらい前にわたしにも「ひょんなこと」があって、これまで「ひょんなこと」なんて本のなかにしか出てこない特異なものだったので、とても驚きました。その思い出から読むことを決めた本。猫?のようなキャラクターが出てきます。明と暗が心地良いです。kashmirさんやpanpanyaさんが好きな方には刺さるかも?
■岡本大三『香川にモスクができるまで』(晶文社)
購入から読了までかなり時間がかかったのですが、読み始めたら止まらなくなり、ほぼ一気に読みました。面白い!小説みたい!香川にモスクを作ろうと大奮闘するフィカルさん、岡本さんの筆致により鮮やかに描き出されるそのフレンドリーさと情熱、そして彼を含めモスクに関わる人たちが作り上げた「助け合い」の輪。簡単なことではないけれど、こういうあたたかさを基礎としてその中に身をおいたら、もっと世の中はよくなるのに。みなさんに会いに行ってみたくなります。岡山から高松へ向かう「マリンライナー」の車中で、進行方向に向かって左側の車窓を見ていれば、フィカルさんたちの願いの結晶が見えるかも…?
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■peco『My Life』(祥伝社)
パートナーだったryuchellさんが亡くなった後の情報発信で見せる姿勢に、年下ながら感銘を受け、手に取ってみた本。愛されて育ったことを臆面もなく出す彼女の生い立ちには、庶民としてはただただ驚かされるばかりだが、重要なのはそこではないのだと思う。「ハッピーに暮らす」ためにはそれをとことん追究し、力を惜しまないこと。
■おばあちゃん『ひまができ今日も楽しい生きがいを』(ヨシモトブックス)
川柳を武器に東京・神保町の劇場に立つ吉本興業所属のピン芸人「おばあちゃん」のエッセイ。「おばあちゃん」が芸名ですが、本当におばあちゃんです。長年勤めた会社を定年退職してから、演劇への出演を経てお笑い芸人の道へ。なぜ?波乱万丈な人生も読めます。旦那さんと暮らす湘南から毎日神保町へ「通勤」しているというのもすごい。
■木の実ナナ『下町のショーガール』(主婦と生活社)
自分を表現することへのガッツに脱帽。吃音と戦いながら舞台に立っていたそうだ。「あぶない刑事」(小学生の頃から舘ひろしさんが好きで…でも最近柴田恭兵さん派になりました)や二時間サスペンスで何度も木の実さんを見てきたが、全く知らなかった。
■池江璃花子『もう一度、泳ぐ。』(文藝春秋)
パリ五輪にも出場していたアスリート、池江選手がスポーツ雑誌に連載していた記事をまとめたもの。わたしが唯一自信を持って「得意です」と胸を張れるスポーツが水泳なので、読んでみたくなりました。「一年の最初に、手帳にその年の目標タイムを書く」というのは、憧れの俳人さんもやっていたな、と。白血病の病後の身体と戦う池江さん、アスリートというと強靭な肉体と精神の持ち主だというイメージがあるけれど、池江さんの生活を見ていると、気持ちの揺れ動きに翻弄されながらの選手生活だということがよく分かります。スポーツにせよ、創作活動にせよ、メンタルバランスとの関係は非常に重要。
■冨永愛『新・幸福論 生きたいように生きる』(主婦の友社)
冨永さんは昨年、わたしの地元の「信玄公祭り」で信玄役を勤めたことでも話題になりました。例えオファーがなくても、夢や理想があれば、それに向けて一刻も早くストレッチを始め、日々準備を怠らないこと。当然、外見や体格は真似できないけれど、エッセンスを頂くことは誰にでもできる。(以前、冨永さんの別の本を読んで「お豆腐dayを作る」というのを真似してみたらみるみる体重が落ちたので嬉しくなって豆腐ばかり食べていたら、体調を崩したことがあります。しょぼすぎる恥ずかしい思い出。何事もバランスが肝心なんだと身をもって知りました。)パートナーとの離婚後、シングルマザーとなった冨永さんの育児についても触れられています。今はその息子さんもモデルとして活躍されているそう。
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