The Wave / 波のように広がる規律
Pearson English Graded Readers の Level 2 / The Wave。
カリフォルニアのある高校に勤める歴史学の先生の小さな発想から始まった 'Wave' 。それはヒトラーとナチスにまつわるドイツの人たちの感情について生徒に学ばせるために、という想いから考えられた小さな実験でした。
その 'Wave' が中心となって話が進みますが、共感する側としない側との間で、いえ、同調する側としない側という言い方のほうが相応しいと感じますが、時間が経過するに従って、同調する側としない側に分かれ、それが彼らの間で大きな壁となっていく。その壁は、夫婦間やカップルの愛情にまで影響するものとなっていく。
同調する人たちにはどこか洗脳されているように感じました。
しかしそこに至るまでの経緯の記され方が簡単すぎて、なぜ彼らはその 'Wave' に求められるその小さな行為にそれほどまでに洗脳されてしまったのか。限られたレベルの英語の限られた語数でしか表現することができないので仕方がない部分もあるかと思います。しかしほんの小さなことやほんの小さなきっかけで、人々は思いがけずに、思いがけないことに洗脳されてしまうのかもしれません。
この 'Wave' の中での重要な言葉、disciple 。
規律という意味を持つ言葉ですが、この言葉が持つ他の意味を知ったとき、ひょっとすると自分の普段の行いにも通ずるものがあるかもしれないと考えると少し怖い気持ちにもなりました。
そのもうひとつの意味で ChatGPT に例文を考えてもらうと、ChatGPT は気を効かせて日頃から造形物をつくっているわたしに合った受け入れやすい文章を考えてくれました。
鍛錬は、自分自身に対して厳しく規律正しい生活や行動を求めることであると考えると、人々が人々に同調する気持ちとどこか通じるものがあるのかもしれないと感じたので少し怖くなりました。
この本の内容は、いま現在世界で起こっている宗教や独裁国家による争いごとにも大きく絡むように感じ、歴史が繰り返さないように、これ以上罪のない人たちが苦しまないことを祈るばかりです。