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サヨナラおっぱいの写真
私の左胸の乳がんが、肺に転移している可能性があるとのことで、検査をするため先日肺の一部を切除する手術を受けた。
結果、肺にあった影は良性のもので特に治療は必要なかった。もし転移なら、乳がん完治は不可能だったのでまずは一安心。
まあでも手術だから傷は残るよなと思って、実は肺の手術の前に胸の写真を撮った。
肺の結果次第ではあったのだが、もし胸を失うことになると考えると、なんだか私の左胸がかわいそうに思えてきて。
私の左胸としてそこに存在しているのに。娘と息子のための母乳も一生懸命作ってくれた胸なのに。
女性としての体を形作ってくれていたのに。
かつてヌード写真集を出した芸能人がインタビューに答えて、「きれいなままの私を残したかった」みたいなことを言っていたが、今ならその気持ちがわかる。
でも胸の写真データを残しておくのはいささか不安だ。
なんとなくそんなこんなを息子に話してみた。
息子は、LINEの自分だけが見られるところに貼って元のは消したら?と言った。
でも、父さん(夫)がLINEに個人情報載せるのは危険だって前に言ってたよ、と私が言った。
じゃあどこが安全かなあ。
それで私が言った。
写したらすぐ写真専用紙にうちのプリンタで印刷して、データはすぐ消しちゃうのはどう?写真は私だけの自己満足だし、自分が見られるようにしてあればいいんだし。
息子は、ああ、それがいいかもね、と言った後少し考えた。
でもさ、ずっと後になって母さんの遺品整理を姉ちゃんとしててさ、もし俺が母さんのおっぱい写真見つけちゃったら、俺どうすればいいのよ?
・・・そうだねえ・・・。
じゃあ封筒に入れて、開ける前にこれは見るとやばいやつ、母さんのおっぱい写真だとわかるようにしておこう、ということになった。
春休みに娘が帰省してきた時に、娘にもおっぱい写真の話をしておいた。娘は笑っていたが、「じゃあその時は私がきちんとその写真をとっておく」と言った。
来週、私の左胸はなくなる予定。
今までありがとう、私のおっぱい。
ひょっとしたら大学病院に検体として保存されて今後の医療の発展のために役立つかもしれない。
サヨナラ、私のおっぱい。
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