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RADは悲しみの側にいる
RADWIMPSがやっぱり好きだなぁっていうただそれだけです。全てあくまでも私個人の感想です。
RADって悲しみの側にいる人たちだなって思うんです。どの曲が、とかじゃなくて、明るい曲も暗い曲も、そういう感じがする。曲というかバンドのスタンス自体かなぁ、私にはそういう風に見える。
幸せを歌っても、希望を歌っても、悲しみの中にある人を忘れてないよっていう、そういう温かさ、優しさがあるなって。
絶体絶命
はじめてRADの曲を聞いたのは中学2年のとき。最初に聴いたのは25コ目の染色体だったかな。YouTubeで。
その後に絶体絶命、というアルバムをレンタルしてiPodに落として聴いてました。歌の歌詞ってこんなに自由なんだって思った。飽きずに何度もリピートしてたなぁ。
絶体絶命は、ちょっとファンタジーというか、ストーリー性があって、わりとアップテンポ、元気な曲が多いイメージ。有名なのはDADA、透明人間18号、君と羊と青とかかな。
このアルバムは頭から全部その順番で聴くのが好き。(RADは曲の構成がいいなってアルバムが多い) どの曲が特にいいって言い難いけど、でもやっぱり魅力を伝えたいので、2曲歌詞を引っ張ってみる。
まず、透明人間18号。
「聖者も僕も同様に照らしてくれるのが救いだよ 太陽が照らす相手選んだらきっと僕に色は与えられない」
「すると灰の色の僕を眺め綺麗と言ったんだ 虹の色を掻き混ぜると同じ色をしていると」
この歌詞すごく好きだったな。安易な言葉しか出てこないのが悲しいけど、発想が天才。優しい。
それからグラウンドゼロ。
「立ち止まってみたければ 時速1400キロの速さで 精一杯地球逆廻りに 走らないとね」
「どれだけ後ろ向きに 歩いてみても未来に 向かってってしまうんだ 希望持たされてしまうんだ」
これが中学生の私にヒットした。しかもこの曲は最後まで聴くと有心論みたいな構成なんですよ。大丈夫かな、これはネタバレに含まれないかな。いやでもわかっててもいいものはいいから。有心論もRADの曲なのですが、この曲はYouTubeにMVがあるのでぜひぜひ聴いていただきたいな。
×と◯と罪と
×と◯と罪と。野田さんが暗い部分をさらけ出してるアルバムだなと思う。中学3年のときの病んでた私とこのアルバムの曲たちが溶けてグズグスになって固まって、ほんとどうしようもなかったな。
この暗い曲たちを聴くことで、何回も心のかさぶたを剥がして、そこをさわるような感覚があって、ぞわぞわと痛みがあるけどつい繰り返してしまうんだよな。私にとってはある意味心の自傷行為で、でも慰めだったんだと思う。この暗い曲たちは今でも聞くたびにかさぶたを剥がされる感覚がする。でもそれが好き。
このアルバムの有名な曲は、実況中継、五月の蝿、ドリーマーズ・ハイ、会心の一撃とか。
私がかさぶた剥がしてた曲は、いえない、五月の蝿、DARMA GRAND PRIX、針と棘。
針と棘は本当に好き。当時の私の心境にシンクロしてたのもある。かさぶた剥がされるんだけど、ふーって血を乾かされる感じがする。心が安らぐ曲。
「言葉の針を抜いてください 心の棘を剥いてください」
この部分がささくれだった心を撫でてくれた。それから続くこれ。
「その時溢れ出す赤い血をこの世のてっぺんから降らしてください さぁ 浴びて 浴びて 浴びて」
歌詞だけみるとだいぶおぞましい光景が浮かぶと思うけど、本当に優しい声なんです。この詩とあの声が、私の側にいてくれた。ありがとう。
一方、わりと明るめ?のお気に入りの曲は、リユニオン、アイアンバイブル。
リユニオンは、友達の曲。明るいというかテーマが穏やか。
「『馬鹿げた夢を見た』なんてなしにできるわけないほどに懸けてた 分かってるよ見てた 最前列で何も言わず お前の勇姿見てきた」
「美しかったよ 今まで見たことないほど 勇ましかったよ 今までのどんなお前よりも 悔しかったよ 何億分の一だろうと なんと言われようが俺の願いでもあったから はじめて 自分以外の夢の見方知ったからさ」
この詩。私の説明はいらない。素敵。
アイアンバイブルはメロディーがかわいくて好き。歌詞はストーリー性が強くて、有心論、グランドゼロの並びにいるかも。
映画の劇伴たち
君の名は。の劇伴ではスパークルが好き。ひたすらうっとりして聴ける。とてもロマンチックな曲。RADが新海誠監督の映画の音楽を担当するって知ったときは、本当に嬉しかったなぁ。映画自体も絵がとても綺麗で、あの流れ星のシーンもさることながら、電車のドアやらふすまやら、扉の表現が印象的だった。
有名な話ではあるけれど、君の名は。のすぐ後に出た人間開花というアルバムに光という、君の名は。の主題歌になるかもしれなかった曲が入ってます。君の名は。でRADが好きだと感じた人にはおすすめ(遅い) 。当時、RADぽくないというか大衆向けの曲な感じがするなぁと思ってたのですが、後から聴いたら普通にいい曲だったので、ただの「RADがどんどん有名になっちゃって寂しい」みたいな感情が変なフィルターになってしまってたんだろうな。反省してる。
天気の子なら、やっぱり、愛にできることはまだあるかい、がいい。もちろん映画のために作った曲なんだろうけど、でも映画を通して野田さんが、RADが世界に伝えたい思いがすごく詰まってるのを感じる。まだ世界に戦争、紛争があって、貧困があって、差別があって、そういうことに思いを馳せて歌ってるのかな。ってライブに行ったときに思わされました。映画のストーリーの中に収まってるときは、あの主人公ふたりの曲に思えるんだけど、そう思わせておきながら、実は野田さんの全ての人への愛が詰まってる曲じゃないかなって思ってる。わかんないけど。
悲しみの側の曲たち
YouTubeに毎年3.11にアップしている震災追悼の曲たち。台風19号のときTwitterにアップしていた子守唄。コロナと闘う人たちのための曲、Light The Light。毎回、歌ってくれる。
なんて、なんで、こんなに真面目で優しいのか。
勇気づけられる、でも感傷的にさせられる。
上記の災害にまつわる曲が象徴的だけど、他の曲でも、野田さんは想像力とさらに共感力がすごく高いのではないかなって思うんです。直接関係のない相手のことを深く心配したり、語りかけたりできる。特に映画を通して世界に名を馳せて以降は、さらにその傾向が強くなっている気がする。
僕、僕ら、君とかの登場人物を歌詞に出して歌詞の中で世界が完結してるんだけど、実際は聴く人たちに向けて歌ってて届けてる感じがします。で、僕、君は聴く人たちのことでもあるけども、野田さん自身でもある。
分析したわけではなく、フィーリングなので、実際は全く違うかもしれないけど。
それで共感力の高さを、勝手にちょっと心配しています。他の人の悲しみに添いすぎて、心が疲れてしまうんじゃないかなって。
天気の子の大丈夫の歌詞でも、
「世界が君の小さな肩に 乗っているのが 僕にだけは見えて 泣き出しそうでいると」
ってあるんですけど、それ「君」も「僕」も、どっちも野田さんじゃないのかな。
これからも聴くよ
好きな曲はまだまだ、トレモロとかふたりごととか、いいんですか?とか、NEVER EVER ENDER とかMountain Topとか、上記のアルバムの中の他の曲とか、一縷みたいに野田さんが他の人に提供した曲とか、たくさん…!あるんですけど…!ここまでにします……
中学生の頃みたいにRADにべったりではなくなって、いろんなジャンルの曲を聴くようになりました。今は、だから、ほどほどの距離にいる感覚なんですが、でもこれからもずーっと聴くつもりでいます。RADの外を知ったからこそ楽しめることも増えたと思う。
悲しみに溢れた曲も、怒りに満ちた曲も、光が詰まった曲もどれも好き。いろんなアーティストとのコラボも、アニメーションとのコラボも、オーケストラとのコラボも好き。いろんな挑戦を見てるのが楽しい。
これからもRADが挑戦することは、なんでもその先を見てみたいなと、一人のファンとして楽しみにしています。