幻肢痛

 幻肢痛(げんしつう)とは、すでに切断された手や足などの四肢が、あたかもまだ存在しているかのように感じ、その部位に痛みを感じる現象のことです。
 この「幻肢(げんし)」というのは、実際には存在しないものの、脳が切断前の四肢を「まだある」と認識してしまうために起こります。
 痛みは鋭い痛みや焼けるような痛み、締めつけられるような感覚など、個人によってさまざまです。

 幻肢痛は特に手足の切断後に多く見られますが、乳がん手術での乳房切除後など、体の他の部分でも起こることがあるようです。

 原因としては、脳や神経系が関係していると考えられています。
 切断後、神経や脳が新しい状態に適応する過程で、錯覚的に痛みを感じることがあります。
 このような適応の過程で、脳内の「地図」に混乱が生じるためだと言われています。

 治療方法としては、ミラーセラピー(鏡療法)や、薬物療法、理学療法などがあります。
 ミラーセラピーでは、鏡を使って切断されていない側の四肢を映し、脳に「正常な四肢が動いている」と認識させることで痛みを和らげることを目指します。
 これは少し不思議な方法ですが、一定の効果があるようです。

 幻肢痛は個人差が大きいので、治療法も人それぞれです。
 もし身近な方が苦しんでいる場合は、専門医と相談することをおすすめします。

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