断罪
現在、日本ではある特定の人物や組織を叩いても良い(あるいは叩くべき)、という空気があるように思います。
原因は、その人物や組織が「悪いことをした」と考えられているからです。
悪いことをしたら償うべき、という気持ちは少なからず誰にでもあります。
しかし、自分に関わりのない人や出来事に対しても感情移入し、執拗に非難する人が多く出てくるのはあまり良い傾向だとは思えません。
共感力は、人間が共に支え合って生きていくために重要なものです。
実際に自分自身がその経験をしていなくても、相手の立場を思い、気持ちを想像し、「そのような出来事に遭遇した人間が、身体的・精神的にどのような状態になるか」を脳内で疑似体験できる力が共感力です。
この力があるからこそ、人は身近な人はもちろん、見ず知らずの相手にも手を差し伸べることができるのです。
共感力が優しさを引き出すような良い方向に働けばそのような形に落ち着くのですが、逆の方向、つまり怒りや悲しみに働いてしまうと、世の中は騒がしくなります。
何かが起きたときに、その出来事に対して何を思い何を感じるかは、当然個人個人の自由です。
しかし、その感情の表現方法を間違えると、さらなる悲劇を生みかねません。
そういった意味で、共感力は諸刃の剣だと言えるでしょう。