ミスをしないような教育と、ミスをカバーし合う教育。社会人後の違い
日本は「ミスをしないように教育する」国
日本ではミスをしないように教育され、北米では相手のミスをカバーするように教育されるそうです。今、私がいるバンクーバーでは確かにそのような教育の結果を目の当たりにすることがあります。
厳密な分類は難しいですが、世界各国で比較した場合、一般的に以下のような特徴があるようです。「ミスをしないように教育する」国の例としては、やはり日本。 日本では、ミスをしないための事前準備や緻密さが非常に重視されます。学校や職場での責任感や細部への注意が求められ、失敗は個人の責任とみなされることが多いです。また、ドイツも、計画性や制度の遵守が重視される国として知られています。ミスを減らすための効率性や正確さが高い価値を持つそうです。
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カナダは「ミスをしたときに庇うことを教育する」国
一方で「ミスをした人を庇うことを教育する」国といえば、まずアメリカ。 アメリカでは、「失敗は成功のもと」という考え方が根強く、失敗を恐れず挑戦することが評価されます。ミスをした場合でも、学びの機会として捉えられることが多いです。次に挙げられるのが、私が今いるカナダです。ただし、この文化が根付いた背景はアメリカとちょっと違うようです。多文化主義が根付いているため、寛容で支え合いの精神が強調されるからだそうです。失敗は個人の責任ではなく、改善すべきプロセス全体の一部と見なされると言われています。
私の職場では、日本人に限らず、東アジア人の多くはミスをしないようにチェックリストを作ったり再確認をしています。一方でカナダ人はミスをしたチームメイトのフォローが上手です。カナダ人の自然なチームメートへのフォローは新鮮で気持ちがいいものです。仲間がミスをしたとき「よくあることだよ」「気にしないで」「大丈夫だよ」という声かけの自然さに感動します。実際にそういう言葉をかけられること、ミスを庇えることが高い評価につながる、こういう教育を受けてきたからです。
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海外で働くときは「失敗しても進む」
日本に住んでいると、「失敗を減らす」ことが求められる環境が多いかもしれませんが、海外で働くと「失敗しても進む」考え方が求められることがあります。日本で教育された「失敗を減らす」価値観や行動は後から簡単に身につくものではありませんから、大切にしたいところです。そのうえで、海外にいる場合、ミスしても深く落ち込んだりしないこと。ミスして反省したそぶりなんて、当然見せる必要はありません。
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それぞれの悪いところ
どちらの教育にも悪い面もあります。ミスを減らす教育を受けた人は、一回のミスで落ち込んで仕事に集中できなくなったり、ミスが発覚した場合に「自分のせいではない」ことを証明したがる傾向があります。同僚がミスしたときも、「大丈夫だよ」とはなかなか言いません。大丈夫かどうかは上の立場が決めるものだという考えがあり、助けることも自主的にはしません。
ミスを庇うことに重点を置いた教育を受けた集団は、ミスの言葉上のフォローだけで終わってしまい、誰も何も反省しないまま、ミスが起こった事実を忘れてしまいがちです。ミスした本人もすぐに自分のしたことを水に流して忘れてしまいます。
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ミスのフォローがうまい人だけの集団の、ミスを減らす方法
ミスが発覚した際に「気にしないで大丈夫だよ!」と、落ち込んでいる人をみんなで鼓舞するスタッフの間で、日本人の私としては「このミス、絶対また起こるから何か対策を打とうよ!」と言いたくなるものの、雰囲気を壊すので言い難いものです。ミスの再発防止は現代社会ではどこの国でも基本ですが、カナダで日本と同じような言い方をしては、ヒステリーな人間として見られるかもしれません。「なんでこれが起こったの?」なんて言っても、キョトンとされるでしょう。
そんなときは、少しフォロームードが落ち着いた時点、つまりミスした個人が落ち込みから浮上したあたりで、「みんなが気をつけてたらこんなことは起きなかったはずだから、みんなで対策を考えよう。あなた(ミスした本人ではなく、フォローした人)だったら何ができたかな?」「一人が頑張ってミスしないようにするのは難しいから、みんなで一緒にやることにしよう。この作業は誰と誰がいいかな?」というような表現でフォローの延長としてのチームで対策を提案するようにしています。
#マネジメント
庇ってもらううれしさ
私は「ミスをしないように教育された」日本人のはずなのに、うっかりミスを、信じられないくらいにしょっちゅうします。そして今、カナダでチームのメンバーにたくさん庇ってもらって、とても嬉しく思います。みんなが冗談を言ってミスをした私を笑わせたりするのです。どうせミスをするなら、他人のミスのフォローがうまい人でありたいとつくづく思い、ただいま訓練中です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!