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三人称単数がtheyのひと

heでもなくsheでもない人

 生まれながらの性に納得している人も、していない人もいます。納得できない人が居心地が悪いまま生活しなくてはならないのは不平等だと思います。性的少数者が法的なサービスを受ける際に直面する障壁は存在します。
 英語では三人称単数の代名詞はheかsheを選んで使うことになります。性別のイメージがなければ第三者の話がスムーズにいかないのが英語です。さて、heでもなくsheでもない人がいて、その人たちはtheyで呼びます。theyを選ぶ人がいる話を、私は過去にGoogle勤務の友人から聞いて「複数形になるけどいいの?they is?」という無知な質問をした(答えはthey are)記憶があります。現在のアメリカ・シカゴに住む姉に聞いたところ、職種によるとはいえ「heかsheかわからなかったらすべてtheyが今は当たり前」と言っていました。姉の業界に限って言えば、初対面どうしの会議の前に自分の名前と代名詞をセットで言うのが通例だそうです。
#性別 #ジェンダー #性的少数者

性別を意識せずに使える言語とそうでない言語

 日本語の一人称は「僕」「私」となり、英語では「I」で済ませられるので日本語も性別は非常に敏感な言語ではあります。でも、自分が使う代名詞の性別を自分で選ぶ場合と、他人が使う代名詞を指定する場合は明らかにハードルが違います。日本語では幼い頃の敬称に「くん」と「ちゃん」があって違和感を覚えた人がいると思いますが、それと似ているかもしれません。ちなみに、性別を意識せずに使える言語としては、フィンランド語やハンガリー語、中国語などがよく挙げられます。これらの言語は、文法的に性別を明示しない特徴を持っています。ジェンダーの区別が少ない言語を母語とする文化圏では、性別にとらわれない考え方が根付いていることが多いそうです。
#言語 #英語 #中国語 #フィンランド語

本人の気持ち


 私は今、theyを希望する人と初めて毎日同じ職場で仕事をしています。最初「名前で呼べば大丈夫」と思っていたのですが、気を抜くと間違えます。代名詞をあまり使わない日本語から英語モードのhe,sheを使う文に変換して、ここからさらに名前に変換する作業を忘れてしまい、うっかりheと言ってしまうことがあります。
 Heもsheもしっくりこないからtheyを希望するそのスタッフがheと呼ばれた場合の本人の気持ちはどんなものだろうかと想像してみます。先述の姉の意見としては「気づいたらその場ですぐ言い換える」これがいちばん自然だそうです。自分がheでもなくsheでもない三人称を求めることで複数形になってしまい、誰のことかわかりにくくなるという状況を作っているのは本人が一番よく知っているので、theyのところheと言われて腹を立てる人はあまりいないそうです。だからといって、その意思を尊重しないのは、その人を尊重していないことと同じになります。三人称というのは、多くは当事者がその場にいない状況で使われるので、発言者の「本人が聞いていないからどうでもいい」という気持ちがこぼれ出てしまうことがあり、それは軽い陰口に値すると思います。
#三人称

職場では最初に決めよう


 最後に、もうすでに、自分がマネージメントしている集団で性の多様性に直面している人へ、どんな性別で扱って欲しいかを本人に確認する方法について。うわさや雰囲気で決まっていくことが多いのが現状かもしれません。私が行っている方法は、事務的にはっきりと聞くことです。例えば新人を採用したときに給与の振込口座を聞くのと同じ感覚で、「この職場では、代名詞は本人の意思を尊重するようにしています。あなたはどの代名詞を好みますか?」と聞くし、全員の名前を紹介するときに希望する代名詞もセットで伝えています。これはバンクーバーでも今はまだ一般的ではないですが、悪い方法ではありません。
#採用  

最後までお読みくださってありがとうございます。他にも多様性に関する記事を書いてます。


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