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M-005 怒りの先にある希望をたずさえて生きる
わたしには小さい頃から不思議なことがある。
人はなぜ怒るのか?人はなぜ感情的になるのか?
もうかれこれ何十年もこの不思議を考えていたと思う。
怒りを表現するには、すごいエネルギーが必要で、正直、誰も気持ちよくなどない。怒っている本人も…その怒りをぶつけられている対象も…。
※この手の話を書こうと思うと、わたしの中の男性性が登場する。
これは使い分けかな(笑)きっとわたしの中で問題意識の解決法を探している作業だから担当の男性性が登場するのかな(〃ω〃)
▶︎怒りの正体は…
人が怒り感情を持つには、いくつかの事象があると思う。例えば、大切な人を傷つけられらとき。それが理不尽なきっかけなら怒りを覚えない人などいないと思う。
きっとこの怒りには「愛しさゆえの悲しみ」が伴う。
以前、精神科医エリザベス・キューブラー・ロスの死の受容5段階モデルということを書いたけれど、この怒りはその2段階のものと似ていると思う。※死の受容5段階モデルについてはこちらの記事に⇨J-001世界観を無敵にする
今日書いておきたいのは、羞恥と屈辱による怒りについて。
これは、恥ずかしい(と感じる)、馬鹿にされた(と感じる)ことから生まれる。
わたしは、とくにこの怒りの表現について「なぜ怒るのだろう?」と思ってきたのだと、心理学や哲学を通じて自分を理解した。
最初に結論を書いておく! ※これ男性性特有の癖
怒りの正体は、相手に向けられるモノではなく、自分に向けられる怒りだ。
なのにも関わらず、人は「相手に対して怒り、最終的に相手を変えよう」と怒り続ける。
▶︎すべての怒りは自分発で相手は刺激剤にすぎない
「こいつがこんなことをしたから!」「お前がそんな風に俺を馬鹿にしたから!」だから、俺は、私は怒っているんだ。という主張。
本当だろうか?
わざとというケースもあることはある。こう言ったら絶対にあいつは怒るに決まっている!というわざと。ただの悪意ってやつ。
でも、悪意に対して怒ったところで、意味はないことくらいはわかると思う。なので、このケースについてはここでは取り上げない。悪意からは逃げていいからだ。
そうではなくて、相手は全然そんな気などないときの話。
「こいつがこんなことをしたから!」「お前がそんな風に俺を馬鹿にしたから!」と怒っているけれど、相手からしたら「え?そんなつもりはなかったです」というケース。結構ある。わりとこちらのケースの方が多いと思うくらい。
相手はそんなつもりなどない。のに、なぜそんなに相手に怒るのか?
それは、自分の中で生成された「怒り」だと《認識できていない》からだ。
簡単にいうと、「こんなことをされる人間は恥ずかしい奴だ」「こういうことをされる奴は馬鹿だ」と自分が思っているということ。
恥ずかしいと思うのも馬鹿だと思うのも、すべては自分。
相手の言動や行動は、ただ自分の中の信じているモノを浮かび上がらせる刺激剤にすぎないのだけど。
言葉だけだと説明が難しいので、図解にチャレンジしてみた♡
上記に書いてきたことを自分なり図にしたら、こんな感じの図になった。ちょっと不十分かもしれないのだけれど…これがわたしの今の精一杯。
怒りは、自分が何を信じているか?何を採用しているか?の表出にすぎない。
同じ状況になっても、怒る人と怒らない人がいるということを体験したことはないでしょうか?あれは、つまり怒りを生み出す根本が違うということ。
根本というのは、図にあるように、自分がどんな「信念の海」を航海しているのか?ということ。
相手の言動や行動、置かれた状況などの外部刺激は、自分の信念の海の中に泳ぐ何かを刺激する。そして、感じとる。これは恥ずかしいことだ!これは屈辱的だ!と。
だから、どんなに相手が「そんなつもりではない」と言っても、それは聞き入れることができない。残念だけど、怒り続けることを選択する。
▶︎怒りの表現を工夫したところで何にも解決しない
ここで、生まれ出た「怒りの感情」をどう扱うか?という問題について。
この時点で、怒りを無くすことは難しい。怒りは情動であって、瞬間的なモノではある。だから時間がたつと「気分」へと変化はするので、徐々に「もういいや」と思うこともあるとは思うけれど、でも根本はまったく変わっていない。
また同じようなことがあれば、必ず繰り返し怒りは生まれ出る。
だから、時間が解決というのはほぼない。
で、怒りの情動というのは、発散する方法で一時的に冷めることは期待できる。
イライラメラメラと怒り感情が湧いて、どうにもならないから「ランニングしてくる」「カラオケで歌いまくってくる」「筋トレする」「クッションを殴る」などなど。
体を動かしたり大きな声を出したりすることで解消させようというもの。※情動発散といって人間の古い脳に関係する
これらは、怒りの表現、怒りの出しどころを工夫したにすぎない。
つまりは、根本的な解決にはなっていない。
あ、ここで言っておきたいのは、「怒り」がいけないモノだと言っているわけではない。感情で悪いモノなどない。感情は自分を知るとても優れた道具だ。だから、道具である感情に振り回されていることが無駄ではないか?と言っている。
▶︎怒りの先にある希望をたずさえて生きる
わたしは、小さい頃からの不思議である、怒りについて、怒りを生み出しているのは、自分であることを理解した。これはとても納得感のある答えで、知ったときはとても清々しい気持ちになった。「な〜んだ、そういうことか!」と。
相手が怒っているのは「僕はこういうことを信じているんだ!」「私はこれが正しいと思っているの!」という主張であって、わたしが変でダメでいけないことではないんだと。(そんなつもりは毛頭ないことに関しては)
そう思ったら、すごく「希望」が湧いた!!
怒りのその先にあるものは、「こう在りたい!」という「願い」が詰まっている宝箱のようなものなんだと。
だけど…
それをだた素直に信じるには、とても注意が必要だ…ということも同時にわかった。注意が必要なのは、「信念の海」に泳いでいる「信じている事柄」が、本当に純粋に、その人自身の、その人らしさ由来のものかどうか?だ。
得てして人は、「親の常識」や「社会の常識」「環境や状況による当たり前」を信念の海に放流してしまう傾向がある。それは、空気を読む人ほどそうだろう。
相手の期待に答えたい人ほどそうだろう。
良い悪いは別にして、それは処世術であり、今までのその人を守ってきた信念だ。だからそう簡単には手放せないものでもある。
だからまずは、怒りの表現を工夫するだけで終わらせるのではなく、羞恥と屈辱という「捉え方」を変えてみると良い。これの良いところは、同時にどんな信念を持っているのかを認識できるところだ。
男は強く在るべきとか、できないことがある人間はクズで恥ずべきとか。
恥ずかしいと感じるのは、こう在りたいのにそうなっていない自分がいるというだけのこと。そう、ここが「願いの在り処」。そう願っている自分がいる場所。
ということは、わたしは、こうなりたいのになれていないことで困っているし困惑している…と捉えることができる。そう捉えることに成功すれば、「どうしたらそうなれるだろう?」という視点に切り替えることができる。
そうなれば、あとは「行動案」を出し、行動してみるだけだ。怒り続けるよりかなり「楽」になると思う。それは、この時点でやっと、自分の感情を道具にできていることになるからだ。
そうなると面白い感情が芽生える…。
あのとき、わたしにこんな刺激をくれた大嫌いだった奴に感謝が生まれてくるという(笑)
実は、わたしはこれを体験した。あのとき、わたしに憎まれるというニヒルな役を引き受け、刺激を与えて怒らせてくれた人のおかげで、今のわたしが在る。
なにせ、その憎まれ役がいなかったら、わたしは心理学や哲学をただの暗い学問だと受け入れることをしなかったからだ。
その人の存在があったからこそ、小さい頃からの不思議であった「人はなぜ怒るのか?人はなぜ感情的になるのか?」について、実感を伴う深い学びができた。
そして、あのときわたしがなぜあれだけ怒り狂ったのか…その根本的な理由である「わたしの信念の海」について、解明する勇気をもらった。
自分の信念の海に潜り、探究し、わたしのこれからの人生に「必要な信念」と「不必要な信念」の取捨選択をすることができたし、そのやり方がわかった。
信念は、ときにわたしを守り、わたしを苦しめる。それ自体は悪いことではない。すべきは、信念と共に自分らしく生きるという希望に向かっていく覚悟と勇気を、自分に与え続けることだろう。
最後に…。悪意のある人からの侮辱や煽りからは逃げて良い。相手の中に悪意があるのか、それとも深い愛ゆえなのか…ここの判断は魂の領域である直感でわかる。そういう力を人間は持っているのだと思うから。
▶︎感情を道具にするための豆知識【羞恥感情のメリットを知る】
羞恥とは恥じる気持ちのことをいう。羞恥にはメリットが3つある。
①社会の規範からはずれないようにする
②同情をかい許される
③成長のタネにする
今回の記事は、③にするためのことが書かれている。
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