ホルモン注射を待っている時間 トランスジェンダー 鈴木優希
男性ホルモンの投与を3週間に一度受けている。今、待ち時間の間にこの記事を書いている。
僕はLGBTのTのトランスジェンダーである。
身体は女で生まれてきたが、今は性別適合手術を受けて戸籍上「男」として生きている。
性別が変われば「ゴール」ではない。
「男」を維持する為に、これから生きていく「身体」の為にホルモン治療は死ぬまで続く。
僕はFTMなので男性ホルモン投与を3週間に一度している。
どんなに2日酔いでもこの注射ペースは厳守。年末などは、救急での対応をしてもらう場合もある。
このホルモン治療というものは奥が深い。
量をガンガン打てば良い!というものでもない。
そして、もちろん「副作用」を伴う。
男性ホルモンは短命になる。なんて言われている。
僕は昔、性同一性障害の治療を始める前に、通っていた大阪医大のGIDジェンダー科の先生に
『治療をされた僕より年上の人たちは何歳まで生きて、今どうしてますか?』と聞いたら
先生は、『統計がないからわからない。』との答えだった。
日本を代表する大学病院のしかもGID専門の先生が、「わからない。」と言われたことに驚いたことを覚えている。
確かに、男と女では平均寿命にも差があるから仕方のないことなのかもしれないが、短命になるとわかっていて受け入れるのは辛いものがある。
僕が実際に困ったあれこれ。
ホルモン治療をするにあたって、
僕が実際に困ったことを簡単に書いていこう。
歯の治療(インプラントが出来ない)
他の病気で入院、治療をすると打てない
多血になり定期的に血を抜く
献血が出来ない
辞めると人力車(身体がガソリンの入ってない車と同じ状態になると言われた)
おしりに打つのだか、単純に痛い
注射の為に病院に行く時間と労力
今ざっと思い浮かぶのはこれくらいだろうか。
「打つ」と副作用を伴うが「打たない」という選択肢もない。
ただ、自分の身体のこと。
一般的にそうだから、みんなそうしてるからで治療と向き合わないこと。
ホルモン注射を打たない選択肢を探してもいいし、自分に合った量や頻度を見つけていく努力も必要。
実際に、ホルモン注射のリスクを考えて性転換後に注射を辞める選択をしている方もいる。
何が正解なのか?
僕は「納得」をする事だと思っている
自分が「納得」して決めること。
僕たち性同一性障害・トランスジェンダーは身体をいじっている以上、「リスク」は0にはならない。でも、出来る限り減らして、生きていける術を「病院」・「先生」任せではなく自分でも学び、知識を知り、相談しながら納得出来る治療を見つけていこう。
自分の身体を人任せにしない。
鈴木優希のセミナー活動、LGBTについてのコンテンツを掲載しているオフィシャルサイトも是非見て頂けたら幸いです。