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大丈夫。今が全てじゃない。

僕は女から男に戸籍を変えて生きているLGBTのTであるFTMトランスジェンダー。1980年生まれ。仕事は地元名古屋で同じLGBTQ当事者を雇用したオナベバーVenusとレズビアンバーWの2店舗を経営している。

まだまだ若輩者ではあるが、今年44歳になる今、感じていることを記事にしようと思う。

人の目ばかり気にしていた学生時代

学生時代は人の目ばかり気にしていた。振り返ってみると幼稚園から高校中退までずっとそうだった。
【性同一性障害】という自分だけが感じる心と体の性が違う事実を抱えていたから余計に「おかしく思われたくない」「いじめられたくない」そんなネガティブな想いが大きかったことと僕自身の弱い性格もあってのこと。

親と一緒にいるのを見られるのが恥ずかしかったり、周りに強く思われたくてタトゥーを入れてみたり、好きでもない男子の事を好きだと言ってみたり...自分というものが一切なかったように思う。
あんなに必死に気を遣って得た「友達と言っていた人たち」は今はいない。
僕が一番悩んでいた時に誰も居なかった。幾度も手術を重ねて戸籍を男に変えた本当の僕の姿もきっと知らないだろう。

大丈夫。世界は広い!

もしも今、学校の人間関係で悩んで辛い人が居るのなら、何も悩む必要はないと声をあげたい。LGBTQ関係なくてもそれは同様で。
世界はもっと広い。
今はその場所が全てと思うかもしれないが、全然どうでも良い事。
気を遣って一緒にいるその人たちの事を何十年後かには思い出すこともないし、本当にあなたを思ってくれる人たちがその頃の自分の周りに必ずいる。

無理して付き合うだけ時間の無駄。人生は無限ではなく限りがある。
僕はずっと長い間、どうでも良い人達に気を遣って、本当に僕のことを思ってくれている人たちの事を後回しにしてきてしまった。
そのことを今とても後悔している。
僕の味方で居てくれる家族だっていつまでも元気でいてくれるわけじゃないことも知った。
ばあちゃんが書いて飾っていた色紙の言葉
「いつまでもあると思うな親と金。ないと思うな運と災難」
そんな言葉を遅ればせながら噛みしめている今だ。

嫌だと思ったら場所を変えてみてもいい。自分が心と体ともに元気で居られる場所を探そう。自分らしく生きる場所を。ただ、嫌だと思って

逃げてもいいけど引き返すな

引き返してはいけない。自分の居場所=自分らしく生きる場所を見つける方法はただ一つ。行動あるのみ!何かをしてみることしかない。
大きな事じゃなくてもいい。今出来ること。やってみたい事。やれそうな事。何でもいいから「今」を重ねていくこと。
反省はしてもいいけど決して引き返してはいけない。

僕は仕事が1番だとこれまで生きてきたけど、もしかしたらそうじゃないかもしれないとも思っている。家族との時間。恋人との時間。ひとりの時間。
優先順位は人それぞれ。だから正解もそれぞれが選んだ事で良いとわかった。だから僕は辞めていく人材を止めることはない。その子にはその子の生き方がある。

43歳の挑戦


ただ、この商売、たくさんの子が入店しては辞め、店を去って行くたびに、わかってはいるけれど寂しい気持ちは昔と変わらない。
水商売は若い時しか出来ない。なんて言われるけれど、

一瞬ではなく一生の仕事として選ばれる仕事にしたい!

と今僕は試行錯誤している。

その一つとして、この4月から公認カウンセラーの先生に協力頂いて
【業界初!カウンセリング付きの職場】
として試験的にスタッフのカウンセリングを行っていく予定をしている。

LGBTだからこそ抱えている問題も人間関係の悩みも、悩みを話せる場所を提供することでスタッフのメンタルケアが出来たら、仕事に向かう姿勢も変わるかなと思っての試みだ。
大手企業さんはいち早く取り入れている事も個人店が同じようにしていこうとすると費用も手間もかなりかかる。

でも僕は挑戦したい。もしかしたら誰も求めてないかもしれない。

大失敗したらまた違う事を考えれば良い。
思いついた事を思っているだけでは何も変わらない。そうこうしているうちに人生が終わってしまう。

大げさではなく、時の流れはそれほどに早い。

ありのままの自分で、働ける場所。好きな仕事を生涯の仕事に!

僕を救ってくれたこの仕事の良さを、恩恵を、同じ当事者のみんなにも、体感してもらいたい。何かしらの希望を持って入店してくれた一人ひとりの「ライフスタイル」になるように、古き良き譲れぬ想いと時代に合った新しい取り組みの融合でこれからも前だけを見て一歩一歩前進していきたい。

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