レズビアンバーを作る!
僕はLGBTのTであるトランスジェンダー。僕自身は女から男に戸籍を変更して生きているFTMトランスジェンダー。1980年名古屋生まれ 鈴木優希
仕事は地元名古屋の繁華街錦三丁目で同じFTMを雇用したオナベバー「Venus」を2007年から経営している。
新しい挑戦!レズビアンバー開店!!
今回2023年の七夕7月7日に「レズビアンバーW」を開店させることになった。
これまでレズビアンバーと言えば、男子禁制が主流であり、錦三丁目には「レズビアンバー」自体がない。
時に、僕の店オナベバーVenusが「レズバー」と呼ばれることもあるが、真面目な話をすると全くの別物なのだ。
FTM【オナベ】...生まれてきたときの体は女であるが、心は男であり、異性という認識で「女」の子が恋愛対象。
レズビアン...女として女を愛する同性愛者。自分の体に違和感はない。
だからこそ、レズビアンといわれると僕たちFTMは「女扱いされている」「女じゃない!」「同性愛ではない!」とあまり良い思いをしない子が多い。
そして男に憧れ、男になりたい僕たちは、レズビアンの子にはモテない(笑)
そもそも厳しい店だと、身体を変えたり、戸籍を変えている僕なんかは入店出来ないレズビアンバーも多い。
それほどにLGBTという同じ枠の中でも、近そうで全く違うものなのだ。
閉鎖的でない世界にしたい。
今でも名古屋にレズビアンバーが多く存在するエリアはあるが、だいたいのお店は男性が入ることは出来ない。お客様の居心地の良さを求めると、レズビアンバーだから当たり前の事なのかもしれないが、それでは「経営」「雇用」といったところに結びつくことは難しいと感じた。
そして認知も進まない。
錦三丁目のリアル
オナベバーもある、ニューハーフバーもゲイバーもある...レズビアンバーだけが存在しない。
もっと間口を広くできないだろうか?
レズビアンを公言して働きたい需要があるのは、これまでに1000人程のLGBTQを面接してきたのでわかる。
商売として成り立つお店作り。堂々と顔を出して宣伝広告を打つことで「知ってもらう」大切さ。
僕はVenusをやってわかった事が沢山ある。
その一つに「自分が思うよりも世間は広い」ということ。
僕は物心ついたころから性同一性障害に悩み、LGBTのなかでも自分が何ものなのか?どの枠に入るのか?セクシャリティというものに悩んでばかりで、自分の将来も、就ける仕事も悲観していた。
怖かったけど、「オナベ」であることを公言して2007年にVenusを始めたら、こんなにも「認めてくれる人」「来て下さるお客様がいる」ことに驚いた。
あんなに悩んでいたセクシャリティ、それが「売り」となり、僕の生活を支える「商売」になった。コンプレックスが武器になった瞬間だった。
自分らしく生きる場所
店が成り立つからこそ、人が雇える。同じように悩んできた自分らしく生きたい!という当事者の子たちの居場所を維持することが出来る。
僕が知ることが出来た世界を、レズビアンの子たちにも知って欲しい。
今回の店のテーマは、お客様同士の出逢いを求めるレズビアンバーではなく、レズビアンがイキイキとそして堂々と働く場所。
そして、その場所が「レズビアンバー」として性別関係なく沢山のお客様に「楽しい場所」「面白い場所」として知ってもらうこと。
女が女を好きなだけで、みんな同じ人間である。
本人たちが思うほど、人はそんなに気にしていないし、なんなら個性として興味を持ってくれる。応援してくれる人だって多い。
実際にレズビアンの子と話してみると、良い意味で抱いていたイメージと違ったとおっしゃって下さる方も多い。
今回、出店するレズビアンバーW【ダブル】が、今までカミングアウトできなかったレズビアンの人たちの自分らしく働ける場所。
そして対価を生む仕事になることを目標としている。
様々な意見はあるのは承知。ゼロからイチを作るのは簡単ではないことも覚悟している。でも、誰か(今回の場合は男の人)を排除するのではなく共存していくことで学ぶことが必ずあると信じている。
閉鎖的なイメージを消す第一歩を、レズビアンバーWのママをお願いしたベルさんと共に挑戦していきたい。