自分なんてって思わない
僕は女から男に戸籍を変えて生きているFTMトランスジェンダー。
物心ついた時から心と体の性別が違っていた。その悩みに支配された幼少期を送った。
自分なんて..そんな風に思った時期もあった。
でも今はそうは思わない。いや、思いたくないと言った方が正しい。
思いたくなくてこれまでもがいて生きてきた。
○○だから出来ない。そんな思いはもうごめんなのだ。
幼い頃は
「女」だから出来ないことばかりだった。
女らしく。
本当は、ランドセルは黒が良かった。スカートは履きたくなかった。学ランは着れなかった。野球部にも入れなかった。あぐらもダメ。女を好きになる事もダメ。
やりたい事はほとんどやれないこと。だった。
女って男の下なんだ。男の奴隷なんだ。そう思って女は損だなといつも感じていた。
だからこそ、元々あった性別違和からの男への憧れがより強くなったのかもしれない。
男になった!!
悩みもがきながら心と体の性別を合わせたのが20代。
人より20年以上経ってやっと鈴木優希。僕の人生のスタートだった。
やりたいことは全部やった。ずっと我慢していた思い欲望があふれ出して止められなかった。
でもそれで終わりじゃない。
「生きていかなくてはいけない」
「男」になる事に必死で仕事・家族・老後。人として生きていく上での当たり前で大切な事をすっかり忘れていた。
しかし今度の方がもっとシンドイ。
それは言い訳がつかないからだ。
あれだけイヤだった「女」から、なりたい「男」に変わった。これ以上治療的にも法律的にも出来ることはない。
男としてどう生きるか?
そもそもそうではなく、
FTMトランスジェンダーとしてどう生きるか?
性別適合手術も名前の変更も全て自分が望んでやった事。
でもこのFTMトランスジェンダーであることを理解してもらえる環境。
ハンデを越える能力が果たして僕にはあるのか?
一気に怖くなった。
こんな風だからなんて思いたくない。
女だから。元女だから。男じゃないから..じゃない。
なりたい自分になれたのだから自分を好きになりたかった。
武器を持とう!
出来ないことは変えられない。まずはそこを受け止めよう。
じゃあ、出来ることは何だろう?
自分でわからなかったら、人から評価されている事でいい。
それを一生懸命にやること。
そうすると自分だけの武器が出来る。
武器は多い方が良い。武器は持っていると「自信」となる。
こんなふうに...なんて思わないで。
性同一性障害だろうが何だろうが、生まれてきたから今がある。
僕たちは少々生きづらいけど、だからこそ人に優しく出来たり、少数派だからこその貴重な経験をさせてもらっている。
ひとりの人間として自信を持とう!
その為には自分を受け入れて意地を持って今を生きること。
逃げたら一瞬楽だけど、必ず自分に返って来る。
どうしたって事実は変わらない。
だったら、「自分なんて..」じゃなく「自分だから」の考え方で生きた方がずっと楽しい。
※2022.5.21(土)LGBT社会人交流会「BRUSH UP」第8回無事終了。沢山のご参加ありがとうございました!
次回、第9回「BRUSHUP」は2022.6.11(土)名古屋にて開催決定!
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