売りを無くしたLGBT
僕はLGBTのTであるトランスジェンダー。女から男に戸籍を変えて生きている。42歳。
僕はLGBTQ、主に僕と同じFTMの当事者を雇用したBAR Venusを地元名古屋で経営している。
いわゆる世間ではオナベバーと言われる店だ。
夜働く「オナベ」という扱い
昔はイロモノだった。
僕たちの「存在」自体が珍しいもの扱いであり店の「売り」となりお客様を集客出来ていたが、令和の今僕らの業界の位置づけはだいぶ変わってきた。
1年前、あるお客様にこんなことを言われた。
「オナベだけじゃ売りにならない時代。もう珍しくもなんともない。もっと違う事をしないとお客は来ないぞ」と
焦ると同時に、嬉しくもあった。
それだけLGBTというものが社会に認知され実際にカミングアウトをして水商売の世界だけじゃなく職業の選択肢をもてているという証拠。
僕たちは珍しくない存在になれたんだ!
商売として求められるもの
それは何か?
身体を変えること。元女と想像できない見た目のギャップ。そんなことでもない。
人間力。エンターテインメント力。
それはもはやオナベバーの枠ではなく、キャバクラやクラブ、スナックといった女の子の店もメンパブ、ホストといった男の子の店も同様。
他店との違いをどう打ち出していけるか?にある。
僕たちLGBTも、やっとここまでこれたと同時にその「売り」となるモノを持つ店にしていかなければならないというプレッシャーもあるが、とにかく挑戦あるのみだと考える。
失敗も数えきれない。
最近では、ボトルを頂いた時の掛け声を作ってやってみたが、大不評で却下。
楽器を使った盛り上げも不発。
高級なシャンパンの注文が入った時に踊ってみよう!と本格的な照明装置を設置して、店のオリジナルのテーマソングも制作した。
休み返上でスタッフとダンスレッスンをする。これはお客様に受けて今も続けているが、飽きられないように常に曲の追加、踊りの改良が必要となる。
もっともっと。
僕たちに何が出来るか?
挑戦し続けること
LGBTというものが売りにならない時代は僕たちが求めてきた社会。
だったらここからが本当の勝負の時。
性別という当たり前のことに苦悩してきた僕たちだからこそ、Venusという空間=「自分らしく生きる場所」をお客様にとっても「対価を払う価値のある場所」にしていかなければならない。
2022.6.11(土)LGBT社会人交流会「BRUSH UP」第9回無事終了。沢山のご参加ありがとうございました!
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名古屋にて7月19日(火曜日)19時から21時。お申し込みはこちらから
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