粗放的有機農業① ~その考え方と畑の観察~
今年から、自然の摂理に作物の生育をゆだねる、
粗放的有機農業
を開始する。
粗放的有機農業とは、僕の勝手な造語だ。
おおよその目鼻が付くのは3年後
くらいかと思う。
方向性としては、
1 畑を耕す、肥料を与える、農薬を散布する。このどれも行わない。
2 品種は「固定種」とし、ハイブリッドなど、「タネ」の採れないものは
使わない。
3 草(雑草)は、刈り込みで対応する(抜かない)。
4 害虫はネットで防ぐなど、「資材」でやれることを工夫する。
こんな感じだろうか。
ここで大事なことは、
人間が手出しする部分と手出ししない部分を、
ちゃんと分けて考えること
だ。
これは、おいおい説明していこう。
てなわけで・・・
早速、「畑」の確保だ。
農家さんに話をする。
「草ボーボーの畑を貸してくれませんか?」と。
当然、
「は?」となり、
「アタマおかしい?」と疑われて(笑)、
「ま、好きに使えや。」となる。
こうしてお借りしたのがこちら。
軽く耕起してあり、ひょっとしたら「石灰」が入っているかもしれないとのこと。前年まで他の人が畑をしていた場所である(左側は今でもそう)。
伺うと、地目は「水田」。要は、転作田です。
さあ、ここで栽培するわけだが、まずもって大事なのは、
観察。
そう。どんな畑なのか、見極める必要があるのだ。
僕が言うところの「粗放的有機農業」に類する作物づくりをしている方は多いし、あこがれる方もいるだろうが、
植物の生理に逆らうことは出来ない
ことはわかっておこう。
情緒的になってはいけないのだ。
で、まず目についたのは、
「排水が悪そうだなあ。」ということ。
圃場の真ん中が低い。
これは致命的な欠陥であり、雨が続けば水が溜まる。水が溜まれば根が腐る、の結果となる。
そこで、「排水路」の痕跡を探す。もとは田んぼだったのだから、何かあるはずだ。
発見!
後ろを流れる小川(農業用水)に水を落とす「土管」があった。
だが、土がつまっており、全く機能していない。
これを復活させて使用する。
だが、土管の高さ(レベル)が決まっている以上、これ以下の水位の水は排水できない。なので、あくまでも、地表にたまる水「表面水」を逃がすもの、と割り切るべきだ。
スコップでざっと掘ってみたのが、こちら。
こんなイメージである。
圃場からの排水に期待ができない、となれば、畝(うね)は「高畝(たかうね)」にしないといけない。50cmくらいは必要か。
ということは、不本意だがいったん畑を耕し、土をダイナミックに寄せて畝を立てるしかない。耕起したくはないが、やむを得ないだろう。
排水の悪さを、畝の高さでカバーする。
次に土質。
畑の後ろに石が山積みとなっている。畑から出てきたもののようだ。
昔、この辺りに「川」が通っていたとのことで、土地改良工事(田んぼの造成ですね)では、よくある話だ。
おそらく、大小の石がまだこの畑には入っている。
だがこのこと自体は、栽培にさほど支障ない。
ただ、砂系、砂利系の土であるならば、「地力」はおそらく高くない。
なので、収量は期待できないかもしれない。
ベースの土はpoorであったとしても、長年の耕作で地力が上がる場合もあるから、そちらに期待するか・・
あと、植生。
ここに生えている草(いわゆる雑草)が、今後、作物と共存する。
畑の地力が低いなら、作物・雑草・微生物の共生に頼るところ大!となるわけだから、草が重要となるのだ。
この意味において、もう、「雑草」という言い方はふさわしくない。
今の季節だとこんな感じで、植生としては一般的だ。
写真がイマイチだけど、背の低い「広葉雑草」が優占。
枯草から、秋には「イネ科雑草」が生えていたと推測される。
おそらく一年中、何かの草が生えているはずで、粗放的有機農業においては、望ましい下地だ。
だが、ところどころ、大株になる「多年生雑草」が生えているので、これは迷わずスコップで引っこ抜く!
トラクターの耕耘で破砕すれば枯れる、と思うかもしれないが、この手のやつらは、太い根の断片から再生するので、やってはいけない。
自ら、悪玉を増やすことになる。
イメージとしては、草は、
作物と共存出来るものを選抜
していく感じで対処する。
・・てなわけで、今回できた作業はここまで。
週末ごとに進めていくが、テスト、って感じでやっていこうと思う。
次回は、畝立てをやります。