相続対策で5年をかけて実家を売却して学んだこと
5年ほど前から進めていた実家の売却を軸とした相続対策がようやく完了しました。
「相続なんて自分にはまだ先の話」と思っている方が大半だと思いますが、相続が発生してからでは手遅れになっていることが多いので、実際にやってみた経験を踏まえてポイントや大変さを記事にまとめてみました。
伝えたいこと
全部読むのが面倒だよという方のために、伝えたいことを3点にまとめました。
・相続税は数百〜数千万の単位の金額になることがあります。
・相続は99.9%揉めます。揉めてないケースを見たことがありません。
・税金と揉め事を減らす秘訣は早めの対策です。最低限どのくらいの相続税が発生するのかは把握しておきましょう。
ちなみに相続税の目安は以下の図の通りです。
一定サイズ以上の土地や賃貸不動産を持っている場合はもちろん、最近では子供に隠して親御さんが株式運用で資産を築かれていて、相続税の対象になってしまうケースも多いようです。
さらに悪いことに、先日相続税の増税が示唆される報道があったため、今後も相続税の税率が上昇する可能性が高いと考えれます。
相続対策をはじめたきっかけ
1つめの理由は、僕の親が祖父から相続を行った時に辛い経験をしたためです。遺産分割を巡って親族内で揉めに揉めて、まさに骨肉の争いでした(そのせいで親族2名とと縁を切っています。当時小学生ながらに本当にお金の怖さを知りました…)。
そのため、自分の時は早めに相続対策を行うと決意していました。
2つめの理由は、将来的に実家に戻ることがないためです。僕の実家は神奈川にあるのですが、駅からかなり遠く、実家から通勤するのはあまり現実感がありませんでした。そうなると、自分が使わない土地に対して相続税を払うのって勿体無いかも?と思い始めたのです。
相続対策で実現できたこと
メインの目的である相続税の圧縮はもちろんですが、実家の整理が早いタイミングで出来たことが良かったなと思います。
・将来発生する相続税を数千万円から数十万円まで圧縮(※)
・親が元気なうちに実家の整理&引っ越しを完了
・税金と不動産の幅広い知識を獲得
※相続税が圧縮できるかはケースバイケースなので、あくまで参考としてご覧ください
相続対策の内容
僕が実施した相続対策は以下のような内容です。
■実家と賃貸物件の一部を土地ごと売却
相続税の対象となる資産総額を引き下げるために、所有する土地面積を減らす必要があったため、実家と将来的な収益性が低い賃貸物件を売却しました。
■住み替え特例を使って居住用マンションを購入
不動産を売却すると譲渡所得税として、売却益の20%が課税されるのですが、マイホームの住み替えであれば特例によって、売却益の3,000万円まで非課税とできるため、この仕組みで親の新居を購入することで、課税額を圧縮しました。
■残った賃貸物件を法人化
残った賃貸物件に関しても法人化することで、賃貸収入の付け先を法人に切り替えて、親の手元に現金を貯めない形にしました。副次的な効果ですが、法人化によって、ブラックボックス化していた不動産経営を見える化することもできました。
相続対策でやったこと
僕が相続対策で主にやったことは以下の通りです。
1. 相続に詳しい人(税理士など)やネットから情報収集
2. 相続税のシミュレーション
3. 相続対策のプラニング
4. 不動産の入れ替え
5. 親への説明と説得
1つ1つの内容だけでも書きたいことが盛りだくさんなのですが、ここでは割愛して一番大切なポイントのみをお伝えしておきます。それは「親への説明と説得」です。
相続対策は子供世代のために行うもので、親世代のメリットはほとんどありません。むしろデメリットの方が大きいくらいです。
■相続対策による親世代の主なデメリット
・実家に住めなくなる
・自分が亡くなった後の話をされて気分が悪い
・不動産の売却や書類の準備などの手続きが面倒
僕の場合は「実家に住めなくなる」点で親の説得に時間がかかりました。親としては、「先祖代々住んできた土地だから、自分は最後までここに居たい」との言い分があり、その気持ちも理解できるため、数年単位で時間をかけて徐々に話を進めていきました(それでも実家売却の直前で二転三転しました)。
相続はセンシティブな内容が多く、どうしても親子間で話が擦り合わないことが多いのですが、そこで無理を通すと関係性が壊れてしまうでの、ゆっくり丁寧にコミュニケーションすることをオススメします。仕事にて社内でアイデアを通す時と同じく、根回しと関係性構築が必要になってきます。
相続対策で困ったこと
細かい困りごとは無数にあったのですが、ここでは特に困った3つのポイントを紹介します。
1. 総合的なアドバイザーがいない
相続の相談先として税理士、司法書士、弁護士、不動産会社、銀行あたりが候補になるのですが、それぞれの範疇が異なるため、総合的にアドバイスしてくれる相談先がなかなか見つかず、最後は自分自身が理論武装せざるを得なくなって大変苦労しました。
2. 親への説得の難易度が高い
先にも記載した通り、親世代にはメリットの少ない相続対策であるため、子供側の合理的な理由だけではなかなか話が進みません。とはいえ、強硬姿勢で交渉すると関係性がこじれて、そもそも相続対策自体が進められなくなってしまったり、親子関係にヒビが入るリスクがあるので、ここのバランス感覚が本当に難しいなと感じました。
3. 対応に結構な時間を取られる
家庭内のコミュニケーション、専門家への相談、不動産の売却など相続対策を行うためには、それ相応の時間がかかります。平日日中帯に時間が取られることも多かったため、仕事をしながら諸所対応するのが大変でした。
早めの相続対策を進めたい理由
実際に相続対策をやってみて思ったことは、「相続対策は体力も精神も削れる作業」だということです。
相続対策を行うことで将来発生する税金と揉め事を抑えられる可能性が高い一方で、相続対策には非常に多くの時間と手間がかかります。また、親御さんがご高齢になってから相続対策を進めようとすると、健康上の問題等で時間がかかってしまったり、そもそも相続の話をしづらいという状況が生まれる恐れがあります。
こういった状況を防ぐためにも、ぜひ早めに家族の方と会話して相続対策を検討してみて下さい。
私自身が相続で大変な思いをしてきたため、本記事を通して相続で悩む人が少しでも減ることを祈ります。
P.S.
もし相続の相談に乗って欲しいという方がいたら、TwitterでDMして下さい。お力になれることがあるかもしれませんのでお気軽にご連絡ください!https://twitter.com/y_senuuu
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