別れと出会い
Xでこんなことをふと呟いたら、意外と反響があった。
結構な年月を共にしたパートナーとの別れから半年が経って、その期間を振り返ってみると、自分でもどこから湧いてきたのか分からないエネルギーに押されながら日々を過ごしてきたなと思う。
彼との別れは予想外で突然のもので、私は傷ついたし悲しみもした。
そして同時に、降ってきた新たな挑戦に立ち向かおうという気持ちもすぐに湧いてきた。これは意外だった。
新たな部屋探しを始めて、仕事と並行しながら、物件の問い合わせやら内見をいくつもこなし、想像していた以上にはるかに速いスピードで新しく住む場所を見つけてしまった。そして、違う街への引っ越し。新しい部屋の壁に色を塗り、ドリルで棚を壁にうちつけ、足りない家具や家電を購入して運び込んだ。
仕事でも新たなチャレンジがあった。新しく入ってきたばかりの、自分よりシニアの同僚とはどうもそりが合わず、コミュニケーションに苦戦した。結局、上司に訴えて、彼のポジションに私がつくことになった。仕事を進めていく上での意思決定権を得ることができた。こんな風に積極的に自ら変化を訴えたのは、今の仕事についてから初めてのことだった。
こうした変化を経ながら、少し生活や仕事が落ち着いたら、自分へのご褒美として旅をしようと思った。そうして計画を立てて、最近シチリアとマルタを2週間ひとりで旅してきた。
ひとり旅は想像以上に楽しかった。毎日、知らない道を歩き、新しい景色に出会った。とにかくたくさん歩いた。美味しいものもたくさん食べた。美しい景色を見た瞬間、美味しさに感動した瞬間を誰かと共有することはできなかったけど、ひとりで噛み締められることが至福だった。
ベルリンへと向かうマルタをたったばかりの帰りのフライトの中で、これが私がしたかったことなんだなと思った。誰に制限されるでもなく、行きたい場所へ行き、食べたいものを食べ、会いたい人に会う。かつての自分がそれを制限していたとも思っていなかったのに。なのにどうして、今それができたことにこんなに感動しているんだろう。
別れは新たな出会いをもたらすと言われるけど、まさに私は自分に出会ったのだと思った。