エメラルド色の瞳のアイドルに会いに 「没後80周年記念・竹内栖鳳展」 @山種美術館
あまりに天気が良かった日曜日。
「どこか近場に出かけようかな・・・」
と展覧会情報をチェックしていたら、山種美術館の展覧会情報に目が止まりました。
「なんだ、このべっぴんさん・・・」
エメラルド色の瞳のその猫は、「没後80周年記念・竹内栖鳳展」のポスターからこちらをじっと見つめています。
竹内栖鳳(たけうち せいほう 1864-1942)、恥ずかしながら存じ上げませんでしたが、近代の京都画壇を代表する画家で、動物画を得意としたことで有名なのだとか。
自ら
「動物を描けばその体臭まで描ける」
と語ったという、竹内栖鳳の代表作と言われるのがポスターからこちらを見つめる「班猫」(まだらねこ)だったのです。
展覧会の会期が12月4日(日)までなので、この子に会いに行くことにしました。
この展覧会では他にも鶴やみみずくなど竹内栖鳳が描いた動物の作品が多く、それぞれに魅力的なのですが、やはりこの班猫はダントツ🐈
この猫は元々は彼の飼い猫ではなく、八百屋のおかみさんの飼い猫だったそうですが、栖鳳が気に入って貰い受けたのだとか。
「班猫」の近くには、そのエピソードと共に実際の猫の写真も展示されていました。
白黒写真なので、瞳の色や毛色はわかりませんでしたが、確かに「班猫」は写真の中にそっくり。(当たり前ですが)
ちなみに、この展覧会ではこの作品のみ撮影可能となっていました。
(山種美術館所蔵、竹内栖鳳「班猫」という作品情報を記載すればSNSでのシェアもOK)
写真ではわかりにくいのですが、このエメラルドグリーンの瞳、本当に引き込まれるように美しい。
そして、ふわりと柔らかそうな毛並みの表面をよく見ると、細い毛の1本1本まで描き込まれています。
これは「毛描(けが)き」という、日本・東洋絵画の技法なのだそうです。
だからこそあのふわりとした猫の毛並みが見ていても伝わってくるのですね。
ちなみに、この作品が仕上がったあと、この猫は姿を消してしまったのだとか🐈
この展覧会には栖鳳のお弟子さんたちの作品と栖鳳からお弟子さんへの言葉、お弟子さんたちから師匠への言葉も展示されていました。
栖鳳はお弟子さんをあたたかく見守る師匠だったようです。
弟子の西村五雲の「白熊」という作品は、アザラシを襲う白熊の猛々しい姿を描いているはずなのに、その表情はどこか抜けているような、ユーモラスなものも感じられて、わたしはとても好きでした。
五雲は国内2番目に開園した京都動物園で実際に白熊を見て、この絵を描いたのだそうです。
正確な言葉な覚えていないのですが、栖鳳は彼に対して
「描くのに時間はかかるが、とても真摯に対照に向き合って丁寧に描いている」
という内容の言葉を残していました。
日本画というと厳しい世界だという印象がありましたが、他の弟子の言葉を見ても、栖鳳は弟子の良いところも認めて指導していたようで、人柄が伝わってくるようでした。
今回の展覧会では、個人蔵のため、普段は見る機会のない作品もいくつか展示されていました。
興味のある方は、会議終了までに、ぜひ。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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