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深いベロ藍の美しさ 「広重ブルー」

「面白そうな展覧会があるんだけど」
と夫が誘ってくれたのは、原宿の太田記念美術館で開催中の「広重ブルー」。

「東海道五十三次」「名所江戸百景」などで知られる浮世絵師・歌川広重の作品の青に注目した展覧会で、わたしも気になっていたので、先日2人で見に行ってきました。

日曜日午後の原宿はお祭りでもあるのかと思う人混み。
夫婦ともに人混みが得意な方ではないので、しばしたじろぎましたが、表通りから一本脇道に入ると人混みも落ち着き、ほっとして美術館に向かいました。

これまでも歌川広重の作品を見たことは何度もあったのに、青の使い方に注目して見たことはありませんでした。

彼の作品にはベロ藍と呼ばれる青色の絵の具が使われていて、そのおかげで
美しい青色の表現が多用されているのです。

展覧会のちらしには
「広重はベロ藍を用いて刻々と変わる空模様や水面を繊細に表現することで、人気絵師の階段をのぼっていったのです」
とありましたが、こんなにも青が印象的に使われていたのかとびっくりしました。

もちろん、広重の原画が素晴らしかったから出来上がった版画作品も見事なのですが、あの美しい色合いやグラデーションをずれることなく表現した
刷り師さんの技も大きいのでは、と思いつつ拝見しました。

それにしても、数百年経っても色あせずに残る絵の具の発明・開発ってやはりすごいことだと思うのです。

広重の構図の見事さがあるにしても、やはり色の表現があるとないのとでは大違い。

まだベロ藍を用いる前の作品もあったのですが、当初は青かったであろう部分の色が褪せてしまっていて、どうにも絵がしまらない。

様々に印象的な作品群を見た後にそういった絵を見ると、あまりの落差にびっくりしてしまいました。

メインの風景画以外にも役者絵やうちわ絵もあり、うさぎが可愛らしい「月に兎」は
「広重はこんなに可愛らしい絵も書いていたんだ」
と驚かされました。

葛飾北斎の作品もあり、水や山の表現の違いなども比べて楽しみました。

程よいサイズの美術館は海外からのお客様もたくさん。

ちらしやポスターにも使われている「名所江戸百景 京橋竹がし」は
ロンドンで活躍した米国人画家のホイッスラーの「ノクターン:青と金色—オールド・バターシー・ブリッジ」に影響を与えたそうですから、彼の作品にはまさに国境を越える魅力があるのでしょうね。

神奈川出身の夫は三浦半島が描かれた作品がお目当てだったようで、
「前期だけの展示だから見られてよかった」
と喜んでいました。

「青」という切り口の展覧会、斬新でとても興味深かったです。

この展覧会は11月4日までは前期展示、11月9日から12月8日までが後期展示で前後期で全点展示替えされるとのことですから、前期後期両方行ってもいいですよね。

前期展示は後10日あまりなので気になる方はお早めに。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

*この美術館は明治神宮からも近いので、美術館の後にお参りに。

明治神宮の境内でも海外の方の多さに驚きました。

(今回、携帯を忘れてしまったので、展覧会ちらし以外の写真がありません。。。)

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櫻木 由紀 Yuki Sakuragi
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