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ヤマザキマリさんが語る 「ヴィオラ母さん」

わたしはいくつか
好きなラジオ番組があるのですが、
その中の一つが
「安住紳一郎の日曜天国」。

聞くたびに、安住アナの語りの面白さに
笑ってしまうのですが、
ゲストコーナーの
多彩なゲストのお話も
毎回楽しみにしています。

四月二十五日の放送のゲストは
「テルマエロマエ」
などで有名な漫画家・文筆家の
ヤマザキマリさん。

前回のご出演時の
ヤマザキマリさんの若い頃のお話も
面白かったのですが、
今回はヴィオラ奏者の
お母様のお話。

その一つ一つが面白すぎて
聞いている間、わたしは手元の作業に
全く集中できませんでした(笑)

例えば、コンサートの話。

マリさんのお母さまは
札響(札幌交響楽団)の
ヴィオラ奏者だったのですが、
やはり家を留守にすることも多く、
幼い娘二人をずっと家においておくのも
心配だったようで
(諸般の事情でマリさんのお母様は
シングルマザーだったのです)
札響の演奏会に娘たちを連れて行くことも
あったそうです。

そんな時は演奏会の間中、
お母様が監視できるように、
マリさん姉妹は
最前列の一番端の席に
座らされていました。

楽しい曲の時はいいのだけれど、
シベリウスとかショスタコービッチなどの
すごく前衛的な陰鬱な曲を演奏する時に
幼い姉妹はつまらなくて、
座席でモジモジしたり、
ひっくり返ったりしてしまったのだとか。

そんな時にひしひしと感じたのは、
舞台から見つめるお母様の眼圧。

舞台でヴィオラを弾いているお母様が
一人だけ指揮を見ずに
自分たちを睨んでいる!

しかも、
絶対に間違えて弾いているんじゃないか
というくらい、じっとこっちを見てる!

「ヤバイヤバイ!母、指揮見てない、やばい!」
「これで間違えたら、
オーケストラやめさせられるよ!」

怯えた姉妹は、
難解な音楽も固まったまま
我慢して最後まで聞くという習慣を身につけたのだとか。

さらにこの時、マリさんは
のちに漫画家となった時に役立つ力を
身につけたのです。

退屈な音楽を聴きながらいろんなことを妄想し、
「この曲はきっとこういうことだ、
ああいうことだ」
と物語をつくりながら聞くというスキルを
小学校低学年にして身につけたのです。

「今も音楽を聴いていると、
自然にお話が浮かんでくる」
そうですから、
素晴らしいですよね。

マリさんのお母様のお話は
どれも規格外。

何があっても
「たいしたことじゃないわよ」
「なんとかなるわよ」
で生き抜いてきたお母様の
破天荒な生き方は、
マリさんの迫力ある話っぷりとあいまって
聴いていて力が湧いてきました。
 
少しでも、マリさんのお母様のエネルギーを
感じていただけたら幸いです。

ちなみに、この番組はRADIKOプレミアムでは
今も聞くことができます。

興味がある方は是非、どうぞ。

今回も最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

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櫻木 由紀 Yuki Sakuragi
カフェで書き物をすることが多いので、いただいたサポートはありがたく美味しいお茶代や資料の書籍代に使わせていただきます。応援していただけると大変嬉しいです。