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ガイデッド・リーディングで鍛えられる「メタ認知能力」とは

こんにちは。Little Readers Clubという屋号で活動しているユウキです。

英語圏で広く実施される「ガイデッド・リーディング(Guided Reading)」という、絵本を使った英語のリーディングの指導法を日本での教育に取り入れるべく活動を行っています。

ガイデッド・リーディングは、単なる読書指導ではありません。この教育手法は、読書プロセス全体を通じて子どもたちの理解を深め、多様な思考力を育成する、いわば「総合学習的アプローチ」です。

ガイデッド・リーディングで強化する能力は多岐にわたります。批判的思考力、創造力、想像力、分析力、推論力、などなど・・・。最近、『これらをマルっとまとめるとどういう能力なんだろう』とずっと考えていました。
「ガイデッド・リーディングってなんのためにやるの?」と聞かれたときに、どう答えるべきかと。

「英語が読めるようになる」というのは、それを狙っているので当然そうなのですが、であれば多読でいいんです。わざわざ著者や絵本が成立した時代背景に関する知識を身に付けたり、イラストレーションから内容を分析し、要約したりすること、この目的は何か。
そういう風に考えているうちに、『ガイデッド・リーディングで鍛えられるのは、メタ認知能力である』とまとめるのが、私なりに一番しっくりくるな、と思うようになりました。

本日は、ガイデッド・リーディングでどのようにメタ認知能力を強化するかという点をお伝えします。

ガイデッド・リーディングで鍛えられる能力

ガイデッド・リーディングを通じて、以下のような重要な能力が育成されます:

  1. 批判的思考力:テキストの内容を客観的に評価し、異なる視点から考察する力

  2. 創造力:テキストから得た情報を基に新しいアイデアを生み出す力

  3. 分析力:複雑な情報を整理し、パターンや関連性を見出す力

  4. 推論力:明示的でない情報を読み取り、論理的に結論を導き出す力

  5. コミュニケーション力:読んだ内容について議論し、自分の考えを表現する力

これらの能力は相互に関連し合いますが、自分が理解している内容から一歩引いて、その理解を自分自身にフィードバックしまとめる能力が求められます。このすべての能力の上位に位置する能力が「メタ認知能力」です。

メタ認知能力とは

メタ認知能力は、自分の思考プロセスを客観的に観察し、制御する能力です。簡単に言えば、「考えることについて考える」能力です。メタ認知能力には以下のような要素が含まれます:

  1. 自己認識:自分の思考パターンや学習スタイルを理解する

  2. モニタリング:学習や問題解決の過程を常に観察し評価する

  3. 計画力:目標達成のための戦略を立てる

  4. 調整力:必要に応じて戦略や方法を変更する

ガイデッド・リーディングは、これらのメタ認知スキルを総合的に強化します。例えば、読書前に目的を設定します(例:主人公がひよこのお世話をしっかりとできるかという点がこの絵本の主題なので、この点に注意して読み進めてほしい)。そして、読書中に理解度をチェックし、読書後に内容を振り返るプロセスは、メタ認知能力を活用し、強化するものです。

メタ認知能力強化のメリット

メタ認知能力の向上は、一般的に、以下のようなメリットがあると言われています。

  • 学習意欲が高く、目標を持って学習を進められる

  • 課題の本質を深く理解し、適切な解決策を見つけやすくなる

  • 自分の長所や短所、行動パターンを客観的に把握できるようになる

  • 物事の本質を捉えられるようになるため、周囲の状況が変化したときに応用しやすい

  • 多角的な視点から物事を捉えることで、発想の幅が広がる

  • 自分の心理状態を意識することで、感情的にならずに冷静に事態を判断できるようになる

メタ認知能力と非認知能力の違い

メタ認知能力と非認知能力は、どちらも学業や就業、そして人生の質全般に大きな影響を与えますが、以下のような違いがあります。

  1. 焦点:

    • メタ認知能力:思考プロセスの制御と最適化

    • 非認知能力:性格特性や社会的スキル

  2. 発達過程:

    • メタ認知能力:意識的な訓練や経験を通じて比較的短期間で向上可能

    • 非認知能力:長期的な環境や経験を通じて徐々に形成される

  3. 測定と評価:

    • メタ認知能力:適切なテスト等を通じて比較的客観的に測定可能

    • 非認知能力:主観的な評価や長期的な観察が必要

  4. 応用範囲:

    • メタ認知能力:主に学習や問題解決に直接的に応用される

    • 非認知能力:対人関係や感情管理など、より広範な生活場面に影響を与える

メタ認知能力と非認知能力が相互に補完し合うことがあります。例えば、高いメタ認知能力は自制心(非認知能力の一つ)の向上につながり、逆に強い好奇心(非認知能力)はメタ認知能力の発達を促進する可能性があります。

まとめ

ガイデッド・リーディングを通じて育成されるさまざまな能力は、メタ認知能力という統合的なスキルの強化につながります(と、私は信じています)。
読書をメタ認知能力を鍛える貴重な機会として捉えれば、単なる音読指導を超え、様々な指導が可能になります。また、このことで、読書がさらに楽しいアクティビティになるとも思います。

少しでもどなたかにとって何らかの参考になれば幸いです。

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