ただ読み聞かせるだけじゃもったいない!英語絵本を100倍楽しむためのTips 3選 初級編
こんにちは!ユウキです。
私は、英語圏で広く実施される「ガイデッド・リーディング(Guided Reading)」という、絵本を使った英語のリーディングの指導法を日本での教育に取り入れるべく活動を行っています。
英語絵本は、子どもたちに英語に親しんでもらうための素晴らしいツールです。しかし、ただ読み聞かせるだけでは、その魅力を十分に引き出せないと感じます。英語絵本は、皆さんが思っている以上に奥の深いものです。
今回は、「ガイデッド・リーディング(Guided Reading)」の手法を基に、英語絵本をより効果的に楽しむためのTipsを3点ご紹介します。
1. 読解力/英語力にあった絵本を選ぶ
英語絵本を最大限に楽しむための第一歩は、子どもの読解力や英語力にに応じて本を選ぶことです。子どもの現在の読解力よりも少しだけ難しい本を選ぶことで、子どもたちにチャレンジすることや、より高いレベルの学びの機会を提供できます(難しすぎる、簡単すぎるのは当然NG)。
英語の本の難易度を判断する指標として、Lexile(レクサイル)指数やGuided Reading Levelがあります(勝手にリンクしておりますが、、💦
こちらのブログでこれらの指標が詳しく説明されています)。
レクサイルは主に単語数や単語の難易度、本の長さなどの定量面を見て本のレベルを設定する一方、Guided Reading Levelはこれらのみならず総合的な本の内容(イラストやテーマ性を含む)も含んで評価されます。
例として、以下画像の絵本、I like me !を用いてもう少しご説明します。
I have a best friend. That best friend is me!という表現から始まり、自分を大切にすることの重要性を伝えてくれる本です。
上記の通り、文章の構造は常にシンプル、1ページに一文という分量的にも、英語初学者か、ネイティブの子は幼稚園から自力で読める子もいるかな?という英語レベルの本です。
しかし、レクサイルはAD400L(Adult directed=大人が読んであげるのにふさわしい本)、Guided Reading LevelはH - I(米国の小学校1年生終わりから2年生)と設定されています。
なぜこのレベル設定なのか?は公表されていませんので、憶測でしかないですが、この本のテーマである「自己肯定感を育む」という点が、小さい子どもには分かりにくく、大人の助けを必要にするからではないかと思われます。
あくまで指標ではありますが、英語絵本はこのようなレベルの設定が行われているので、子どもの自力読みや、読み聞かせの際に大いに参考になります。
小さなお子さまには、Pattern book(同じフレーズが何度も登場する本)やRhyme(韻を踏んだ文章)が多用されている本がおすすめです。繰り返しのパターンや韻のリズムは、英語の音やフレーズに慣れるのに効果的です。
例えば、Bill Martin Jr./ Eric Carleの「Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?」は、同じ文章構造が繰り返されるPattern bookの代表例です。また、Dr. Seussの本は韻を踏んだ文章で有名で、「The Cat in the Hat」などは楽しみながら英語のリズムを学べます。
いずれも日本でもとても人気がありますね。
特にPattern bookは、読み聞かせを超えて「自分で読む」練習をするにも大変効果的です。1つのフレーズを覚えれば本が読めてしまうので、英語の学びへの自信にもつながります。
2. 表紙から内容を推測する
ガイデッド・リーディングでは、本を読み始める前に表紙や挿絵から内容を予測することを重視します。これにより、子どもたちの想像力や推測力も養います。
例えば、Eric Hillの「Where's Spot」を読む際に、以下のような問いかけをします。
「表紙の犬は何をしていると思う?」(What?)
「中表紙を見てみて。Sallyと書いている方のエサ入れは食べ終わっているみたいだけど、Spotの方は入ったままだね。どうしたんだろう」(Why?)
「何かを探しているのかな?Where’s~ってどういう意味なんだろう?」(Vocabularyの強化)
(わんちゃんを飼っている子の場合)「わんちゃんがエサを食べていなかったら心配になるね」(Prior Knowldge = 子ども自身の体験 の刺激)
このような問いかけをすることで、子どもは自然と物語に興味を持ち、内容を予測しながら楽しく読み進められるようになります。
3. イラストレーションが多用されており、内容がイラストと合っている本を選ぶ
ガイデッド・リーディングでは、テキストだけでなく、イラストも重要な情報源として扱います。特に英語を学び始めたばかりの人(子ども、大人限らず)にとって、イラストは内容理解の大きな助けとなります。
イラストと内容の一致が重要である理由を、日本語の絵本を例に説明します。
私の娘(小学校1年生、英語が第一言語)は、小学校からのおすすめで一学期中に「ねずみとおうさま」と「おさらをあらわなかったおじさん」という2冊の絵本を読むことにしました。日本語レベルはほぼ同等と感じましたが、娘は「おさらをあらわなかったおじさん」は楽しく読みましたが、「ねずみとおうさま」は読めませんでした。
これは、「ねずみとおうさま」のほうはイラストが少なく、ページごとの内容を推測しにくかったためと考えています。
「おさらをあらわなかったおじさん」は、イラストが具体的で内容と密接に関連しているため、言葉がわからなくてもストーリーを追うことができました。内容が分かると、進んで読みたいと思うようになったようです。
英語絵本を選ぶ際も、このようにイラストが豊富で内容と合致している本を選ぶことが大切です。
例えば、Peter H. Reynoldsの「The Dot」は、シンプルながら効果的なイラストで物語を展開します。内容としても、子どもたちに自分の可能性を信じること、諦めず奮起する気持ちを持つことの大切さを教えてくれるいい本です(フォントにちょっと癖があり子どもには読みにくいのが難点ですが、、)。
おわりに、、、
ガイデッド・リーディングの考え方を取り入れることで、読み聞かせがインタラクティブで楽しい体験となります。英語絵本は、言語学習のツールであると同時に、想像力や思考力、分析力等の総合的な読解力を育むことを可能にしてくれます。
これらのTipsが何らかの参考になりましたら幸いです。