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“祈り”のカタチ【チベット旅行記6】

こんにちは!yukiです。

今日は、
チベットで感じた“祈り”をテーマに
お話ししていこうと思います。


海外に行くと、
よく質問されることがあります。

それは、
「What is your religion?(あなたの宗教は?)」

僕には、特定の信仰がありません。

しかし「ありません」と答えると、
「は?正気か?」みたいな
反応をされることが少なくないのです。

なので僕は、「Shitoism(神道)」、
または「buddhism(仏教)」と答えています。

どちらも生まれ育った生活に根付いていたし、
自分の道徳感の根幹になっていると思うからです。

“祈り”というと特別な感じがしてしまいますが、
日本人にとっても祈りは身近なものだと思います。

当たり前のように神社のお参りしますし、
手を合わせて天に祈ることもありますよね。

新海誠監督の映画を
多くの人がスッと受け入れられるのも、
そういった土壌があるからでしょう。


さて、チベット仏教の“祈り”は、
日本の仏教のイメージからすると
ちょっと不思議に思えるかもしれません。

しかしそこには、
「全ての生き物の安らぎと平和を祈る」
という共通概念があります。

この投稿から、
何かしらの発見があると嬉しいです。

それでは、どうぞ!


祈りの公園


前回のエピソードでふれた、
心を温かくしてくれた町・リタン。

そのリタンを歩いているとき、
中国語で「白塔公園」と書かれた
広場がありました。

この公園は、
言うなれば“祈りの公園”でした。

埃っぽい町中とは裏腹に、
地面は綺麗に舗装され、
その名のとおり白い塔が建っています。

白塔公園

白い塔は、仏塔といわれるもので、
チベット語で「チョルテン」と呼ばれます。

南アジアや東南アジアでは、
この塔のことを「ストゥーパ」と呼びますが、
それを漢字に当てはめたのが
日本の「卒塔婆(そとば)」です。

思いがけないところで
繋がりを感じられますね。

もともとストゥーパは、
お釈迦様の遺骨を納めるために
作られたものだったそう。
そのため、塔自体が信仰の対象なのです。

信仰の対象の周りを
時計回りに歩いて巡礼することを、
チベットでは「コルラ」といいます。

マニ車


白塔公園の塔の周りには、
「マニ車」がたくさん設置されていました。

マニ車を回しながら巡礼

マニ車は、中にお経が入っている仏具で、
ぐるっと回すとお経を唱えたことになるそう。

回す時に、
チリンと綺麗な響きが出ます。

地元の方が、
「一緒に回そう!」
って手招きしてくれました。

チベットの人って、
どうやら「日本人は仏教徒」と
思われてる方が多いのだそう。
(泊まった宿のオーナーが言ってました)

だから日本人と分かると、
当たり前のように誘われるのです。

ところで、
僕はマニ車について、
実は「回せば読経って、横着なの…?」
と思っていたのですが汗

実際に回すと敬虔な気持ちになったので、
口で唱えるだけが重要じゃないんだなあ、と。

マニ車は、

手持ち用の小型タイプから、
ファンタジーみたいな杖タイプ、
建物などに固定された中型、
10くらいで回す大型、
20人くらいで回す超大型など、

様々な形があります。

公園の中には、
超大型のマニ車もありました。
(動画の切り抜きなので少しボヤけてます)

巨大なマニ車

みんなで回すので
意外に重くありません。

ときどきスピードが落ちてくるのですが、
気づいた人が取っ手にぶら下がっている
輪っかをカンカンッと鳴らし、
また皆で頑張ってスピードを上げるのです。

チベット仏教には、
大乗仏教の考え方が根底にあります。

つまり、
その祈りは“全体性”をもっている。

日々の生活の中で、
みんなで力を合わせてマニ車を回し、
生きとし生けるものの安らぎと平和を祈るって、
とても素敵だなあと思います。

五体投地


超巨大マニ車がある建物の外には、
「五体投地スペース」がありました。

「五体投地」とは、仏教において、
最上級の敬意を示す礼拝方法といわれます。

近くにいたおばちゃんが、
「一緒にやりましょうよ」
と声をかけてくれました。

ひとつひとつ動作を教えてもらい、
見よう見まねでやってみます。

五体投地という名のとおり、
額、両肘、両膝を地面につけて合掌します。

これがまた、苦しい!
学生時代の部活動で、
バーピーやってたのに近いです。

しかも、標高4000mの高地。
すぐにゼーゼーと息が切れます。

皆さん、長時間続けてて本当にすごい。

チベットの人々が聖地巡礼をするときって、
1歩ずつ五体投地しながら進むのだそうです。

「尺取り虫のように進む」
と形容されたりもします。

厳しく敬虔な“祈りの旅”ですね…。

ちなみに、このあとの旅行中、
3回ほど五体投地すべき場面がありました。

ここで教えてもらえて本当に良かったです。
(日本で予習していましたが、ちょっと違いました)

出会った旅行者の方が撮ってくれました笑

五体投地を教えてもらう


祈りの公園で遊ぶ子供たち


大人が真摯に祈っている間、
子供はのびのびと遊んでいます。

必死に五体投地をして座り込んでいると、
興味津々な子供たちが近寄ってきました。

チベットの少女たち

無邪気すぎる笑
僕の指じゃありませんよ笑

チベットの少女

楽しく遊んで元気をもらいました!

姉と弟


派手なチベット仏教


チベット仏教のお寺はかなり派手です。

インドの密教の影響を受けている、
というのもひとつの理由でしょう。

密教とは、インドの仏教が
ヒンドゥー教勢力によって壊滅したとき、
裏で密かに伝えられていったもの。

密教では、
砂曼荼羅(すなマンダラ)を作ることによって
“見えない世界”を表現したそうですが、

極彩色の砂曼荼羅を作る儀式は
チベット仏教にも取り入れられています。

残念ながら旅行中に砂曼荼羅の現物を
目にすることはできませんでした。

しかし、お寺の内部は、
まさに曼荼羅のような極彩の世界。

寺の内部


寺院の外見にも影響してると思ってます。
「これ、お寺?!」って感じです。
田舎町のお寺なのに、まるでお城みたい。

派手なゴンパ


ここまでくると、
もはや笑っちゃいますが。

ラルンガルゴンパ


祈りの旗


チベットと聞いて、
カラフルな旗をイメージされる方も
いらっしゃると思います。

この旗は、
「タルチョー」と呼ばれるもの。

5色のタルチョー

“神聖な場所”や、
家などにつけられます。

5色の旗には
それぞれ意味があり、

・青は「天」
・白は「風」
・赤は「火」
・緑は「水」
・黄は「地」

を表しているそう。

旗に書かれているのはお経です。
真ん中に描かれている馬は、
「ルンタ(風の馬)」と呼ばれます。

タルチョーが風にはためくと、
風の馬にのって、
お経が飛んでいきます。

“神聖な場所”につけられると書きましたが、
けっこう派手に巻かれていたりします。

丘の上のタルチョー


多すぎて朽ちていたり…

山の上のタルチョー


これは、もう、よく分からないです。

派手なタルチョー


ゴンパの奥で


最後に、ひとつエピソードを。

ガンゼという町のゴンパ(僧院)を
見学しに行ったときのことでした。

丘の上にあるゴンパにたどり着くと、
入り口が閉まっていて、中に入れません。

外から眺めながら歩いているとき、
ふたりのおばちゃんと
すれ違って挨拶しました。

すると、そのおばちゃんたちが、
「ついておいで!」
といいます。

そして、なんと裏口からゴンパ内へ。

建物の中に入り、
カラフルで迷路のような廊下を
どんどん奥へと進んでいきます。

辺りは静寂に包まれていました。

これ以上進めない、というところまで行って、
靴を脱いで、部屋に入ります。

10畳ほどの部屋は、
薄曇りの日の柔らかな光に照らされ、
“セピア色”な空気感。

たくさんのお供え物が置かれ、
ダライラマ14世やリンポチェ(高僧)の方々の
写真が大きく飾ってありました。

ふたりが五体投地を始めたので、
僕も一緒に行います。

その瞬間、
言葉にしがたい感情に包まれました。

これは歓び?
これが、“祈り”なんだろうか?

五体投地を数回繰り返すと、
僧侶がこちらへやってきて、
私たち3人の頭の上に、
順番に仏像をコツンと当てていきます。

そしてまた、
おばちゃんたちに連れられて
ゴンパを後にしたのです。

あまりに神聖さに満ちた空間で、
カメラを取り出す気にはなれませんでした。

たった15分ほどの出来事。
しかし、とてつもなく長かった。
心から満ち足りた時間だったのです。

少しだけ、チベットの人々の祈りのカタチ
触れられたような気がしたのでした。

チベットの仏像


最後まで読んでいただき、
ありがとうございました!

それでは、今日も良い1日を!



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